第9章 月夜の華炎①【セイヤ】
「新人歓迎会?」
『うん、まあ確かに 今は"デート"っぽい事をしてはいるかもなんだけど…えへへ…
でもこの後は 丘の上で同僚達と合流するの!今日こそは一旦任務から離れて みんなと思う存分 交流するつもりだよ!
───ね、セイヤ 』
「ああ、そうだな」
だがその言葉と共に自身に屈託ない笑顔を向けるアリスを見てセイヤはすぐホッとしたように双眼を細める。
「………そうなのかい」
一方一瞬彼女の言葉に期待を持ったホムラだが セイヤと目を合わせ嬉しそうに頬を染めるアリスを見て再び顔を歪めてしまった。そしてその後はもうアリスと目を合わせることすらしなくなってしまう。
そこへ来て漸くアリスは ホムラがただ怒っている訳でなく 何故か悲しげに表情を歪め 薄らと瞳を潤ませている事実に気付いた。ともすれば泣いてしまいそうにも見えるその表情は 恐らくアリスの見間違いではなかったはずだ。
それに気付いた彼女は 普段と違う彼の様子に途端に慌てふためいてしまう。
『え……
────…ち ちょっと待って ホムラ…
あ あなた まさか───…
……泣いてるの?!』
「え──…なっ、何を言っているんだい?!」
しかしホムラはそんな彼女にくるりと背を向け 焦った様子で顔を背ける。
『だ だって───!
ホムラ ちょっと顔見せて!!
あなた今 確かに泣いて…
「そ──そんなわけないだろう!」