第8章 煩悶の渦中へ③【レイ】R18
『やめてよ──…変な質問はもうたくさん』
逃げようにも手が拘束されている。
服も身に付けておらず、アリスはこのまま駆け出すことも出来ないでいた。
まんまとレイの術中にハマったアリスは、容赦無く採血をされ、ブランケットの隙間から差し入れられた聴診器で跳ねているだろう動悸を入念に確認される。その間なす術なく、不貞腐れたように唇を尖らせていた。不機嫌そうなアリスを見てレイは少しだけ表情を緩める。
「漸くお前らしい表情になったな」
『血液検査なんか──…どうせなにも出てこないのに』
レイは聴診器を耳から外すと
まるで慰めるようにそっとアリスの髪を撫でる。
「念の為だ。
まだ想定の範疇ではあるが、定期的に起こることを鑑みても 恐らくこれは精神的な事なのだろう
ワンダラーとの戦闘で極度の興奮状態に陥った結果、お前の中で一時的に性的な欲求が高まり分別が効かなくな…
『じっ自分が1番分かってるから!
言葉にしなくて大丈夫!!』
それが余程恥ずかしかったのか、
アリスが突然大声を出してレイの見解を遮る。レイは内心でその結果にホッとするも、同時にこれまで疑問に思っていた個人的な想いを漸く口にすることにした。
「だが助けを求めたのが、なぜ私だった?
────その理由を聞かせてくれないか」
『………そ、れは
えと、──────……ほぼ、無意識、で……』