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深空の幻【恋と深空】

第8章 煩悶の渦中へ③【レイ】R18





初めて2人が関係を持った時、目覚めると彼女はレイの元から去っていた。彼は何処かで、それが彼女の出した答えなのだと思っていた。だがソファに残された 微かな血痕を見つけた時、彼は愕然とした。


そうであったらとどこかで願ってはいた。
だが知らずにレイは、アリスの初めてを奪っていたのだ。


大事に抱いたつもりだった。何故なら彼女はレイにとって世界一そうしたいと思う 真綿のような女性だったから。本意でなかったとは言え、もっと慎重になるべきだったと途端に後悔が彼を襲った。


彼女は何故彼に初めを捧げたのか。突発的な事故のような、だが夢のような一夜。あの日の激しい雨の音に全てが掻き消されて仕舞えば良いと何処かで願いながら、同時にいつまでもこの夢が醒めなければいいと願った。


レイの心は未だどんよりと、あの日の空のように 曇ったままだ。



(私も大概正気ではなかった

そして……今現在も引き続き
正気ではない、のだろうな…)



アリスのこの状態を言い訳に、自分も現状 浅ましい恋慕で彼女と肌を合わせている。彼女だけに責任を押し付けるつもりはない。自分にもまた大きな罪がある事を自覚していた。



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