第7章 煩悶の渦中へ②【レイ】
そのまま下へと続くメッセージに彼女はゆっくりと視線を進めていく。今度は時間的に、仕事が少し落ち着いた頃なのかも知れない。
《アリス?まだ仕事中か?
先程検査と問診と送ったが、
それだけではなく
本当はちゃんと話がしたい
お前を責める気などない。
ああなった事には私にも責任の一端があると思っているからだ。
……とにかく休みを教えてくれ》 22:10
1個前の用件だけ伝えるようなぶっきらぼうなメッセージ。だが今度は、それへのフォローとも取れるような 少し優し気な文章だった。
『………ふふ』
仕事中に難しい顔で文章を考えているレイの表情が浮かんできて、アリスは思わず小さく笑ってしまった。
『"お前を責める気はない"
"私にも、責任の一端がある" ですって?
何なのよ、もう………
………"レイ先生"は
一体どこまで、真面目で、お人好しなの…
………ホントは私だって
───あなたが許してくれるなら、
今すぐにだって、あなたに会いに行きたいのに………』
[レイ先生]
不在着信 23:24
[レイ先生]
不在着信 23:49
[レイ先生]
不在着信 0:57
その後の沢山の不在着信の履歴を見て
アリスの瞳からポロポロと止めどなく
掌では拭いきれない程大粒の涙が溢れ落ちていく。