第1章 創作の鍵【ホムラ】
珈琲を片手にそれを見下ろせば艶っぽい瞳が
まるでアリスに甘える様に注がれていた。
「美味しい?アリー」
『うん。
えっと────貴方は飲まないの?
……夢なんでしょ?』
「飲むよ。でも今はこの柔らかい太腿が僕を誘惑して離さないんだ」
アリスはその言葉に少し頬を赤らめると、誤魔化すようにまだ暖かいクロワッサンのカケラをホムラの口に押し当てた。
ふっくらとした唇が開き、パンをゆっくりと咀嚼する様を見つめていたら、彼女は余計、艶めいた昨夜の彼のあらゆる行為を思い出し頬が熱くなるのを感じる。
「ふふ、可〜愛いなぁ。
頬が桜色になった
────照れているのかい?」
ホムラの指がアリスの頬の輪郭をなぞり、妖艶に微笑む
思わず咳き込んでしまった彼女のカップを、ホムラは笑って取り上げた。
テーブルを横へ押しやったホムラが────トサリ、とアリスをベッドに押し倒す。
「こうなったからには、
君には責任を取ってもらわないとね」
『────責任?』
「そうだよ、責任
ああもう…………だめだ
────お願い、もう一回僕にご褒美を頂戴」
その言葉にアリスは目を白黒させて驚いた。
『コ、珈琲を飲むのが、貴方の夢なんでしょう?
ま、まだ一口も
………………飲んですらいないじゃない』
「うん。
でもこれも僕の夢の一つだよ
………叶えてくれる?」
まさかそれって……とアリスが身体を硬くする。
(一日中ベッドで過ごす事、なんて言わないでしょうね?)
そう身構えた矢先
案の定の声が耳元で吐息と共に触れる
「君と一日中、ベッドで過ごす事」
(────!!)
「だって君、今日は仕事が休みだろう?」
ホムラの唇が奔放に彼女の肌の上を滑っていった。