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深空の幻【恋と深空】

第6章 煩悶の渦中へ①【レイ】R18





途端に
いつもは冷静な彼の鼓動が早鐘を打ち始める。


「突然来て、
一体……なにを言い出すんだ──…お前は」


『……分かってる……
私の事なんて、"レイ先生"はいつも
子供扱いだもんね…でも────』



服を脱ぎ捨てた彼女にレイはただ 魅了されていった。



『──…私もう、ちゃんと、大人だよ…?』



透き通る様な白い肌。スッキリとした鎖骨から緩やかに膨らむ2つの丘。そこには今すぐにでも花開かんとしている薄ピンク色の蕾が意地らしくも眩く主張していた。


そこからなだらかに伸びたくびれた腰のラインに 否応なく彼の視線は引き寄せられて───レイは慌ててそこから視線を逸らした。



(彼女は…何故、こんな事を────…)



だが脳内だけがこの状況を冷静に分析している。



『レイ、
────お願い…私を見て』



院内はこの時間夜勤のもの以外誰もいない。だが少なからぬ人員は配している以上誰がこの部屋に入って来ないとも言えない────こんな場所で無防備に肌を晒す彼女をこのままにしておく訳にはいかなかった。


レイはアリスの肌をなるべく視界に入れない様に目を伏せながら 素早く彼女が脱ぎ捨てていった衣服を拾い集め彼女の胸元に押し付ける。



「服を着ろ────…
脱がなくても診察は出来るぞ」



その時 夕刻に見た予報の通り
唐突に降り出した雨が部屋の窓を打つ音が聞こえ始めた。その雨に呼応したかの様に 何故か泣きそうになった顔のアリスは悲痛な声でレイに追い縋った。



『診察なんていい──…っ
怪我なんて何処にもしてないんだから』



彼女らしくない行動と発言にレイはもう夢でも見ているのかと今度は己の正気を疑うしかなくなる。だが例えこれが自身の願望だとしても、欲求のままに愛する人を抱く事は彼の矜持が許さない。





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