第2章 我儘な独占欲【ホムラ】
「イベントに参加するのは勿論嫌だけど
それ以上に───…
僕は君が僕以外の男と知らぬ間に連絡を取り合ってた事が………堪らなく不愉快だったんだ、悪い?!」
ふんと腕を組み目を逸らすホムラ。彼は素直じゃない様で実のところ人一倍分かりやすい純粋な人だ。アリスは恋人をまた一層愛する気持ちが強まるのを実感していた。
『ううん、悪くなんて無い。
私だって嫉妬する気持ちが全くない訳じゃないよ
…………でも携帯は見なくても平気、貴方を信用しているから』
アリスがそう言うとホムラは気まずそうな顔をした。だが暫く後両腕を広げ、おずおずとアリスに縋る様な視線を向ける。
「………ああその通りだね
君を愛してるからつい、僕は嫉妬深くなってしまう。
その────…許して、くれるかい?」
珍しく素直に謝罪の言葉を口にする彼に、アリスは先程の理不尽なやり取りをあっさり忘れようという気持ちになっていた。彼女はホムラの腕の中に歩み寄った。
『勿論。
私もあなたを愛してるから
……許してあげるよ』
ホムラがきつくアリスを抱きしめる。彼女も彼の背に腕を回し慰めるようにその均整のとれた筋肉を撫でた。
「本当に僕を愛してる?
……だって僕には全く返信をしないくせに、トウにばっかり……
やっぱり釈然としないよ」
『ごめん…
ちゃんと返さないとトウさんは、納得してくれないと思って』
「そんなの僕だって納得しないよ。
君の中の優先順位は、一体どうなっているんだい?」
仲直りするはずが抱き合いながら不満を漏らすホムラにアリスは堪らぬ苦笑いを浮かべた。