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深空の幻【恋と深空】

第12章 絡め取る【シン、ホムラ】R18







着替えを済ませるとトレーニングルームへと続く階段をアリスはゆっくりと降りて行った。


この基地には あらゆる一流の設備が整っている。


与えられた部屋に設けられたキッチンや浴室然り、今向かっているトレーニングルームやボクシング場、高性能のあらゆる銃器を揃えた射撃場までが ここには完備されていた。


ハンターであるアリスにとってはありがたい。お陰で慣れない場所に居を置いても腕や身体が鈍ることはなかった。


当初ここにいることが条件だとシンに言われた時にはどうなる事かと心配したが、不本意ながら何不自由のない生活が出来ている。設備に加えプライバシーにまで配慮がされており、外出を咎められることすら無いのだから───ある意味では自由と言っても良い


だけど…
ホムラと連絡すら取れないというこの状況が、確実にアリスのメンタルをすり減らしているのも事実だった




『はぁ…』




重い足取りと心で廊下を歩いていると、ガタンとベンチプレスが鳴る音がする。アリスが気怠げに目線を上げると どうやら そこには先客がいたようだ。無意識に出てしまった溜め息と共にアリスは眉を顰める。




「今朝はやけに早起きだな
────こんな時間からトレーニングか?」




アリスは咄嗟に今朝見た夢を 必死に脳内から追いやる努力をする。気分を晴らす為ここまでやって来たというのに、事の元凶がいては逆効果だ。


そう思い 部屋へ戻ろうかと迷っていると、アリスの顔をじっと見つめていたシンが同様不機嫌そうに眉根を寄せる。



「おい」
『……何?』
「はぁ──…

どうやらお前は、碌に自己管理すら出来ない人間だったようだな」



そう言って大股で近づいて来たシンが徐にアリスの首筋に触れてくる。慌てたアリスはパッとその手を払いのけるが次の瞬間 無表情のシンに腰を掴まれ、まるで荷物の様に 軽々と筋肉質な肩に担がれてしまった。




「自覚がないのか…
────全く、呆れるぜ…」
『え────…っ、ちょ…』




訳が分からぬアリスはシンの肩で暴れてみせるが 頑丈な体躯はびくともしない。有無を言わせぬシンにそのまま来たばかりのトレーニングルームから運び出されてしまった。




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