第12章 絡め取る【シン、ホムラ】R18
アリスはガウンを羽織るとキッチンへと向かった。冷蔵庫から取り出した水をペットボトルごといっきに煽り飲むと はぁ…と息を吐きながら気怠い頭を左右に振る。大量に汗をかいたことで 酷く喉が渇いていた。
最近よく見るあの夢のせいで 今朝は目覚めもすこぶる悪い。
最初こそよく分からなかった夢の内容は 回を重ねるごとに徐々にリアルになっていた。お陰でここ数日は 夢に出て来る人物にまで深く感情移入するようになっている──…
(今朝の夢…
シンが 瀕死になってて…
私はそれを 必死で 救おうとしてた──…)
何故彼が瀕死になったのか その前後関係はよく分からない。だがシンを失うと思ったあの瞬間 まるで魂が引き裂かれる様な、半身を削がれる様な深い悲しみが 痛烈に彼女を襲った。
アリスはぶるぶると 再び強く頭を左右に振る。
馬鹿げている──…だがそう思うのと同時に、 "前世" というキーワードがアリスの脳裏を離れてくれない。
(…いや、まさか──…
だってあんなの
───…まるで……
"恋人" ────…みたいじゃない……)
『…あり得ない』