第12章 絡め取る【シン、ホムラ】R18
N109区にてアリスがここ数日で得た情報は多彩だった。
だがそこに実りがあったわけではない。
シンはどうやら自分の仇ではなく アリスと同様 身体にエーテルコアを持つ──…言わば同士で その上でアリスと "共鳴" したいが故に ここまで彼女に固執している事がわかった。
アリスからしてみれば シンが仇でないのなら 個人的に恨みを持つ理由はない。
だが暗点のボスという肩書はハンターとして放置できるものではなく ホムラを使った脅しも未だ継続中だ。
つまりはシンが少なくともアリスと共鳴が出来るまで 彼女を解放するつもりがないという事。
ならば とアリスは気持ちを切り替え この場所で暗点を監視しつつ 新たなエーテルコア入手に着手することにした。
近々このN109区で闇のオークションが開催される。どうせならそこで競売に掛けられると噂のエーテルコアを入手して臨空に帰ろう。
幸いな事に暗点のボスはこちらに協力的な様子だし シンにとっても "共鳴" する為アリスの「信頼と好感」が必要なはずだ。
こうなればこの機会に是非 彼がどこまでこちらに歩み寄れるのかを見せて貰おう。
そしてこの事は勿論 ハンター協会やミナミさんにも報告を上げた。
だが協会の秘密を保持する為 この事は未だホムラには伝えられずにいる。
つまり事恋愛に関しては 未だ八方塞がりという訳だ。
(私の可愛いお魚さんは
今頃随分腹を立ててるんだろうな…)
ホムラの気性を十分理解しているアリスは深いため息をつきながらベッドから重い腰を上げた。
『はぁ……会いたいよ、ホムラ』