第12章 絡め取る【シン、ホムラ】R18
このN109区という未開の地を牛耳る "暗点" のボス───…
だが彼ならそれがただの脅しではなく、実際に出来てしまうかも知れない────とそう思わせる恐怖が 彼女をこの極端な判断へと導いていた。
勿論ホムラにも盤石とした地盤がある。彼がそう簡単に潰される訳がない という事も頭では理解している──のだが…ここで下手を打って全てを 台無しにしたくない、と言うのもアリスの本心なのだ。
これ以上この男の 言いなりにはなりたくない、だけど───シンが 家族を殺した "仇" かも知れない…その疑惑がある以上、こちらも一歩も引く訳にはいかない。
不適な笑みを浮かべるシン。
何を考えているか分からない 底の知れない "闇" を感じる男だ
彼はアリスを苦しめるこの状況を心底楽しんでいる様にも見える
(────腹が立つ)
そもそも彼は どんな理由で、面識のない自分にここまで拘るのだろう…恋人を脅しの道具に使ってまで アリスをホムラと別れさせる事に 一体なんのメリットがあると言うのか──…考えてみればその全てが さっぱり分からない事だらけだ。
シンが一歩アリスに近づいてくる。
骨ばった大きな掌が、まるで気遣うようにアリスの頬に添えられる
アリスは反発するように 彼を睨む目に力を込めた
だが例えこれがこの男の一時の気まぐれだろうが、ただの気の迷いだろうが──…逆にこの状況を利用するしかない
アリスは、無意識に自身の胸にあるコアに触れた
ホムラ────傷付けて…ごめん