第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
目を見開かせ、カラカラに乾いた喉からやっとのことで出できた言葉。
私とハーマイオニーの目の前にいるのは、トロールだった。
なんで、ここにトロールなんているの。
そう思った時、トロールは手にしていた棍棒を私とハーマイオニー目掛けて振りかざしてきた。
「キャーーー!!!」
「キャッ·····!?」
私とハーマイオニーは悲鳴を上げて、頭を下げる。
トロールは洗面台を棍棒でなぎ倒していき、壊れた壁の破片があちこちに散る。
「いやああ!」
ハーマイオニーはパニックになり泣きそうになっていて、私は彼女の体を抱きしめながら壁に張り付く。
そして杖を取り出そうとしたけれど、私も恐怖のせいで手が震えて杖が取り出せれない。
「·····ふるえ、がとまらない·····」
水を何時間も飲んでいないように、喉が渇いている。
口の中の水分が無いような気がして、言葉が上手く出てこない。
そんな時だった。
「こっちに引きつけろ!」
ハリーの声がした。
驚いてそちらへと視線を向ければ、そこにはハリーとロンの姿。
「ハリー、ロン!?」
驚いていれば、ハリーは壊された蛇口を拾って力いっぱいトロールへと投げた。
すると、私とハーマイオニーに迫ってきていたトロールは動きをピタリと止める。
すると次は、ハリーに狙いを定めたようで、ハリーへと棍棒を振りながら歩き出す。
そして反対側にいたロンがトロールへ金属パイブを投げた。
「やーい、ウスノロ!」
「早く、走れ、走るんだ!」
するとハリーは私とハーマイオニーへと叫び、私はハーマイオニーを立たせようとしたが、彼女は恐怖で動けなかった。
口をはくはくと動かして、壁にへばりついて動けない。
「ハーマイオニー!逃げなきゃ!」
「あ·····あ·····」
「ハーマイオニー!」
その時、トロールが叫び声が不快だったのか低く大きな唸り声を上げた。
そしてロンへと向かいだし、ロンが目を見開かせていた時である。
ハリーが後ろからトロールに飛びついたのである。
そして腕をトロールの首根っこに巻き付けて、杖をトロールの鼻の穴に突き刺す。
「ハリー!なんて、無茶な事を!」
私は震えながらも杖を取り出して、トロールへと向ける。
呪文は何を唱えればいいのかと、グチャグチャになっている頭で考えた。
すると、ハリーの杖が邪魔で嫌なのかトロールが暴れだす。