第16章 闇の印【炎のゴブレット】
2人揃って『呼び寄せ呪文』を覚えようと、『基本呪文集』に没頭していた。
その間、ネビルは試合を見に行けなかった為か、ハリー達が話す試合話を羨ましそうに聞いていた。
「ばあちゃんが行きたくなかったんだ。切符を買おうとしなかったし。でも、すごかったみたいだね」
「そうさ。ネビル、これ見ろよ·····」
荷物棚に置いたトランクをゴソゴソとやってから、ロンはクラムのミニチュア人形を取り出した。
それをネビルに見せてやると、彼は『う、わーっ』と声を上げる。
「それに、僕たち、クラムをすぐそばで見たんだぞ。貴賓席だったんだ」
「君の人生最初で最後のな、ウィーズリー」
ドラコ・マルフォイがコンパートメントにやってきた。
相変わらずの嫌味ったらしい口調で、クラッブとゴイルを両脇に立たせている。
ディーンとシェーマスがコンパートメントのドアをきちんと閉めていなかったせいで、あちら側に話が筒抜けだったようだ。
「マルフォイ、君を招いた覚えは無い」
「出ていきなさいよ、マルフォイ。それか去年みたいに背中を蹴られたいのかしら」
ハリーとアリアネは冷ややかに言いながら、マルフォイを睨みつける。
「ウィーズリー·····なんだい、そいつは?」
マルフォイはすかさず、ピッグウィンジョンにかけてあったロンのドレスローブを掴んだ。
「これを見ろよ!」
ロンのドレスローブを吊し上げ、狂気しながらクラッブとゴイルに見せるマルフォイ。
「ウィーズリー、そんなのをほんとうに着るつもりじゃないだろうな?言っとくけど、1890年代に流行した代物だ·····」
「糞食らえ!」
ロンは真っ赤なドレスローブと同じ顔色をしてから、マルフォイからドレスローブをひったくった。
そんなロンをマルフォイ達は嘲笑う。
「それで·····エントリーするのか、ウィーズリー?頑張って少しは家名を上げてみるか?賞金もかかっているしねぇ·····勝てば少しはましなローブが買えるだろうよ·····」
「何を言ってるんだ?」
「で、エントリーするのかい?君はするだろうねぇ、ポッター。見せびらかすチャンスは逃さない君のことだし?」
嫌味ったらしく話すマルフォイに4人は顔を顰めた。
「何が言いたいのか、はっきりしなさい。じゃなきゃ出ていってよ、マルフォイ」