第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
おそらくだけれど、ハロウィーンは私の両親とハリーの両親が死んだ日じゃないかなと思っている。
周りの大人達の反応を見れば、おそらくそうだと確信した。
(両親の事を普段、話してくれる二人が話してくれないもの·····。そうだとしか思えないわ)
それから、ハロウィーンの日は楽しくて悲しい日となった。
両親の事は覚えていない、かなり昔に名付け親が写真を見せてくれたことはある。
でも薄らとしか覚えていないのだ。
(·····どんな人たちだったのかな。私の両親と·····ハリーのご両親は)
そう思いながら、私はハリーとロンと共に授業がある教室へと向かった。
そして今日は、『妖精の呪文』の授業でフリットウィック先生が、そろそろ物を飛ばす練習をしましょうと言ってくれた。
手本に先生はネビルのヒキガエルを飛ばして見せて、皆早くしたくてたまらなかった。
「では、二人ずつ組んでから練習しますよ」
そう言って、フリットウィック先生は生徒を二人ずつ組ませた。
私はラベンダーと組むことになり、ハリーはシェーマスと。
そして一番驚くことが起きた。
ロンはなんと、ハーマイオニーと組むことになりロンは最悪だと言わんばかりの表情。
「さあ、いままで練習してきたしなやかな手首の動かし方を思い出して。ビューン、ヒョイ、ですよ。いいですか、ビューン、ヒョイ。呪文を正確に、これもまた大切ですよ」
フリットウィック先生は積み重ねた本の上に乗りながら、杖を振って見せた。
「覚えてますね、あの魔法使いバルッフィオは『f』ではなく『s』の発音をしたため、気がついたら、自分か床に寝転んでバッファローが自分の胸に乗っかっていましたね」
その言葉を聞きながら、私は杖を取り出す。
この呪文はセブに教えてもらったし、ビルにせがんで教えてもらったこともある、簡単な呪文だ。
そんな時、ロンが呪文を唱えたのが聞こえた。
「ウィンガディアム レヴィオーサ!」
呪文がちょっと違う。
そう思っていれば、隣にいたハーマイオニーが呆れたように息を吐いた。
「言い方が間違ってるわ。ウィン・ガー・ディアム・レヴィ・オー・サ。『ガー』と長ーくきれいに言わなくちゃ」
「そんなによくご存知なら、君がやってみろよ」
ロンがムッとした表情をして怒鳴ると、ハーマイオニーはガウンの袖を巻くって杖を振った。