第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
「僕、君といると凄く懐かしい気分になるんだ。懐かしくて心地よい·····。赤ちゃんの頃に一緒にいたからなのかな?」
「私もそう思うわ。ハリーといると本当に懐かしい気分になるもの」
ハリーといると、本当に懐かしい心地よい感じがする。
赤ちゃんの頃にいたからなのかなと、何度も思っていたけれどハリーも同じことを思ってくれていて嬉しい。
「これからも、仲良くしてねハリー」
「こちらこそだよ、アリアネ」
二人でそう話している時だった。
「他の男と楽しそうに話すなんて、浮気かな?アリアネ」
チュッというリップ音が耳元で聞こえたかと思えば、頬に柔らかい物が触れた。
直ぐに声の主がフレッドだと気が付き、私は腕を伸ばして彼を叩こうとする。
「ちょっと、変なこと言わないでちょうだい、フレッド!!」
だけと簡単に逃げられてしまう。
もう杖で何かしてやろうかしらと思いながら、ニヤリと笑うフレッドを睨みつける。
「ハリーと楽しげに話していて、妬けるじゃないか」
「意味がわからない事言わないでちょうだい!」
「じゃあな、アリアネ」
ニヤリと笑いながら行ってしまうフレッドの背中を睨みつけていれば、隣にいたハリーは呆然としていた。
「もしかして、フレッドと付き合ってる?」
「付き合ってないわよ!」
「そ、そうなんだ·····」
最近、フレッドの冗談か冗談じゃない行動が頻繁に起きるようになっている。
それに困りながらも、私は果物を口へと放り込んだ。
そして、ハリーと私は1限目の授業を受けるために廊下を歩いていればいい匂いがしてきた。
パンプキンパイの匂いだと直ぐにわかる。
「パンプキンパイの匂いがする」
「ああ、そうか。今日はハロウィーンだ」
「そうね、今日はハロウィーンだからパンプキンパイの匂いがするのね。双子が悪戯してそうだわ」
そういえば、とある事を思い出す。
毎年ハロウィーンの時期になると、モリーおばさんやアーサーおじさんに名付け親やセブは辛そうにしていた。
なんで辛そうにしているか聞けば『アリアネはまだ知らなくていい』と言われる。
(ハロウィーンに何かあったのよね·····)
セブも教えてくれない、名付け親も教えてくれない。
その日に一体何があったのだろうと思いながらも、周りの大人が教えてくれないことに薄々ある事に気がついていた。