第3章 不思議なみぞの鏡【賢者の石】
「ただの箒なんかじゃないぞ。なんてたって、ニンバス2000だぜ。君、家に何持ってるって言った?コメット260かい?」
「ちょっとロン、煽るような事を言わないの」
「いいじゃないか、アリアネ。知ってるか、ハリー。コメットって見かけは派手だけどニンバスとは格が違うんだよ」
ハリーにニヤッと笑いながら話すロンに、私は深く深くため息を吐いた。
マクゴナガル先生は周りには秘密にと言っていたというのに。
「君に何がわかる、ウィーズリー。柄の半分も買えないくせに。君と兄貴たちとで小枝を一本ずつ貯めなきゃならないくせに」
「あら、そんな貴方はお父様にはニンバスを買ってもらえなかったのね。ニンバスを買うほどの腕前じゃないのかしら?」
「よく言った、アリアネ!」
「なんだと!?」
言い争いかヒートアップしそうになった時である。
フリットウィック先生がマルフォイの肘あたりから、ひょっこりと現れた。
「君たち、言い争いじゃないだろうね?」
「先生、ポッターのところに箒が送られてきたんですよ」
そんな先生に、マルフォイはハリーの事を言いつけてハリーを貶めようとした。
無駄なのに。
「いやー、いやー、そうらしいね。マクゴナガル先生が特別措置について話してくれたよ」
フリットウィック先生は怒るところか、にっこりとハリーに笑いかける。
その光景にマルフォイは驚いた顔を浮かべていた。
「ところでポッター、箒は何型かね?」
「ニンバス2000です。実は、マルフォイのおかげで買っていただきました」
ハリーの言葉に、私とロンは吹き出しそうになった。
それを我慢したけれども、ニヤニヤとしてしまっていればマルフォイは当然怒りをむき出しにした表情に。
そして私たちは笑いをなんとか押し殺しながら、階段を上がった。
「見た?あのマルフォイの顔、本当におかしくて吹き出すのを我慢するのが大変だったわ」
「本当だよ!」
「だって本当だもの。もしマルフォイがネビルの『思い出し玉』を掠めていなかったら、僕はチームに入れなかったし·····」
そう、笑いながら話している時だった。
「それじゃ、校則を破ってご褒美をもらったと思ってるのね」
怒った声が背後から聞こえ、振り向いてみればそこにはハーマイオニーが立っていた。
そしてハリーが手にしている包みを睨みつける。