第1章 ホグワーツ魔法魔術学校【賢者の石】
「急いで!」
笛を聞いたモリーおばさんが、私たちの背中を押しながら急かしてくる。
そして私たちは汽車によじ登ってから、窓から身を乗り出した。
そうすると、モリーおばさんは私たちにお別れのキスを頬にしてくれる。
すると、ジニーが泣きそうな顔になっているのに気がついて、私はジニーへと手を伸ばす。
ふわふわした髪の毛を優しく撫でてあげる。
「ジニー、手紙出すからね」
「泣くなよ、ジニー。ふくろう便をドッサリ送ってあねるよ」
「ホグワーツのトイレの便座を送ってやるよ」
「ジョージったら!」
「冗談だよ、ママ」
「アリアネ、着いたらふくろう便を送るのよ。あの人にも送ってあげなさいね」
「ええ!送るわ!」
汽車がゆっくりと滑り出す。
私とウィーズリー兄弟はモリーおばさんとジニーへと手を振ると、ジニーは半泣き笑いしながら汽車を追いかける。
だけど、汽車が速度を上げると立ち止まって手を振ってくれた。
「さてと、コンパートメントに行こうか。アリアネ、一緒に乗るかい?」
「辞めておくわ。パーシーから貴方たちと乗らないように言われてるの。余計なことに巻き込まれるからって」
パーシーに言われた言葉を言うと、二人は『つまらないの』と言ってから歩いていった。
そんな二人を見送り、私とロンは乗れるコンパートメントを探していく。
だが、人でいっぱいだ。
乗れるところがないな……と思っていれば、ハリーの姿を見つけた。
「ハリー、ここ空いてる?他はどこもいっぱいで乗れないの」
「あ、アリアネ。うん、いいよ」
「ありがとう!ほら、ロン、入りましょう」
私はロンの腕を引っ張りながら、ハリーの目の前の席に腰掛けた。
すると、双子たちがこちらにやって来て声をかけてくる。
「なあ、俺たち、真ん中の車両あたりまで行くぜ……リー・ジョーダンがでっかいタランチュラを持ってるんだ」
「わかった」
「フレッド、ジョージ。変なことしないのよ、モリーおばさんに吼えメール送られるわよ」
「「受けて立つさ!」」
そう言いながら、双子の一人がハリーへと目を向ける。
「ハリー、自己紹介したっけ?僕たち、フレッドとジョージ・ウィーズリーだ。こいつは弟のロン。で、あっちが……ああ、もう自己紹介したっけ?妹のアリアネだよ。じゃ、またあとでな」
「バイバイ」