第2章 授業と決闘【賢者の石】
「違うわ·····床じゃなかった」
私がそう言うと、ハーマイオニーは深く頷いた。
「仕掛け扉の上に立ってたのよ。何かを守ってるのに違いないわ」
「あの仕掛け扉、あんな犬を置かなきゃいけないほどに守られているのね·····」
あの時、私とハーマイオニーははっきりと見たのだ。
犬が床ではなくて仕掛け扉の上に立っていて、それを守っているようにしていたのを。
でもハリーたちはそれを見る余裕はなかったらしい。
「あなたたち、さぞかしご満足でしょうよ。もしかしたらみんな殺されてたかもしれないのに。もっと悪いことに、退学になったかもしれないのよ。では、皆さん、お差し支え無ければ、休ませていただくわ。アリアネ、貴方も寝るわよ。これ以上ハリーたちといれば、貴方も余計なことをしそうですし」
「·····余計なこと·····」
だけど正直、私ももう休みたかった。
「ハリー、ロン、ネビル。私も、休むわ·····おやすみなさい」
「ああ、おやすみ、アリアネ」
「おやすみアリアネ」
私はフラフラとしながらハーマイオニーと共に女子寮に繋がる階段を上がって行った。
そして自身のベッドに倒れるようにして横たわる。
「アリアネ、私は貴方が軽率な事をしそうな人間には見えないわ。なんで、あんな事をしたのよ。それほど、マルフォイが許せないの?」
「·····ハーマイオニー、貴方は本で私とハリーの事を知っていたのよね?」
「ええ」
「私の両親を殺した例のあの人·····、例のあの人にマルフォイの両親は加担していたの。だから、どうしてもマルフォイが許せないの。汽車で、私の両親をバカにしたマルフォイが·····」
ぎゅっ·····とシーツを掴む。
私があれだけマルフォイに好戦的になったり、許せないのは両親の事があった。
「·····そう、そうなのね。でも、これ以上は危ないことをしないでちょうだい。私ね、ちゃんとした友人ができたのはアリアネ、貴方が初めてなの」
「ハーマイオニー·····」
「だから、貴方が退学なんてなったら寂しいわ。だから、辞めてちょうだい」
ハーマイオニーは悲しげに眉を寄せていた。
まだ、彼女と出会ってそう日にちはたっていなけれど、友人と思ってくれている事が凄く嬉しくてたまらない。