第16章 闇の印【炎のゴブレット】
顔は険しくなっていて、眉間に皺を寄せている。
その表情に不安を覚えた私は、『リーマス?』と呼びかけた。
するとリーマスははっと我に返った表情になってから、にっこりと微笑んだ。
「なんでもないよ。それよりアリアネ、シリウスから荷物が届いているよ」
「え、シリウスから?」
「ほらそこ。箱が置いてあるだろう?」
リーマスが指さした先には、大きな木箱が置いてあった。
私宛の荷物というけれど、いったいなんだろうかと思いながら木箱に近づく。
何が入っているのだろうか。
そう思いながらゆっくりと木箱を開けてから、私は目を見開かせた。
「ドレス!?」
中にはカージナルレッドのドレスが入っていた。
取り出してみれば、アンクル丈のAラインのドレスがであり、胸元には白のフリルが付けられていて綺麗なドレスだ。
そして見るからに豪華そうなドレスに目を丸くさせてしまう。
「こ、これなんで·····!?」
「ほら、今年のホグワーツのいるのもでパーティ用のドレスローブが必要だったろう?」
「あ、そういえば·····」
今年のホグワーツでの入り用なもので、何故かパーティ用のドレスローブが含まれていた。
何故そんなものが必要なのか分からなかったけれど、とりあえず揃えなきゃと思いながらも放置していた。
「私が君に買おうと思っていて、どんな物がいいかとシリウスに手紙を出したんだ。そしたらこれが送り届けられてね。驚いたよ」
「シリウスが·····」
ドレスを見ながら私は胸が熱くなるのを感じた。
ふと、木箱の中を見ればそこには手紙が添えられていた。
『アリアネへ
このドレスが君に似合うと思って贈らせてもらったよ
君が気に入ってくれたらいいな
シリウス』
短い手紙だけど、私はそれだけで嬉しくなった。
シリウスが私の為にと贈ってくれたドレスを着るのが楽しみで仕方ない。
「楽しみだわ、着るのが!」
「·····名づけ子が、悪い大人に捕まった気がするよ」
何故かリーマスはため息を吐き出していたけれど、私はそんな事も気にせずにドレスを抱きしめていた。
「一つ聞いてもいいかい、アリアネ」
「なあに?」
リーマスの方を振り返りながら、満面の笑みを浮かべていたら彼はため息を吐き出していた。
「いや、なんでもないよ。君が幸せならそれでいいさ」
「なあに?急に」