第16章 闇の印【炎のゴブレット】
平常心だと思っていたけれど、何処かでは怖がっていたんだと思う。
突然『闇の印』を見てしまったことに怖がっていて、リーマスがいた事により安堵してしまったのだ。
「無事だね、怪我はしていないかい?」
「平気よ、見ての通り」
「それならよかった·····」
リーマスは私から身体を離すと、何処と無く安心した表情を浮かべていた。
ちらりと辺りを見渡せば、モリーおばさんがフレッドとジョージの事を抱きしめているのが見えた。
「さあさあ、母さん、みんな無事なんだから」
アーサーおじさんは、モリーおばさんを宥めながら家の中に入るように促した。
それからリーマスの方へと視線を向ける。
「リーマス、家に入るかい?」
「いや、遠慮しておくよ。アリアネはどうするかい?私は君の無事を確認できたから帰ろうと思うけれど·····」
本当に私の無事を確認するだけの為に、隠れ穴に来たようだ。
そんなリーマスに感謝しながら、私はどうしようかと悩んだが、リーマスと帰ることにした。
「リーマスと帰るわ」
「じゃあ、アリアネと帰るよ、アーサー」
「そうだな。アリアネもリーマスといる方が安心するだろうしな」
「えー、アリアネ帰るのかい?」
「まだ居ればいいのに」
するとフレッドとジョージが不満そうに呟く。
そんな彼らに苦笑を浮かべていれば、モリーおばさんが『不満げにしないの』と2人の頭を叩いていた。
「フレッド、ジョージ、また時間があればここに来るわ」
「·····そう言うなら、待ってるよ」
私はウィーズリー家の皆と、ハリーとハーマイオニーに挨拶をしてからリーマスと共に『姿くらまし』で隠れ穴から離れた。
あっという間に私はフリート家の隠れ家に辿り着いた。
私とリーマスは家の中に入り、居間のソファに腰掛けてから一息をつく。
「本当に大丈夫だったかい?」
「平気よ」
「『闇の印』が上がったと聞いて驚いたよ。しかも君がいるワールドカップの会場付近でだ。かなり騒ぎがおきたらしいけど·····」
私はリーマスに何が起こったか一から説明した。
闇の印が上がったことについての話、その闇の印は何者かがハリーの杖で作り出したこと、そしてウィンキーの話もした。
もちろん『死喰い人』がいたことも全部話した。
話し終えた時、リーマスは普段見ない表情をしていた。