第16章 闇の印【炎のゴブレット】
その名前を呼ぶことを嫌う人は多い。
もちろんそれはウィーズリー家でもあり、特にアーサーおじさんは嫌がっている。
「ごめんなさい。『例のあの人』の支持者は、何が目的でマグルを宙に浮かせてんだろう?つまり、そんなことをして何になるのかなあ?」
「何になるかって?」
ハリーの言葉に、アーサーおじさんは乾いた笑みを浮かべていた。
「ハリー、連中にとってそれが面白いんだよ。『例のあの人』が支配していたあの時期には、マグル殺しの半分はお楽しみのためだった。今夜は酒の勢いで、まだこんなに沢山捕まってないのがいるんだぞ、と誇示したくてたまらなくなったのだろう。連中にとっては、ちょっとした同窓会気分だ」
「でも、連中はほんとうに『死喰い人』だったら、『闇の印』を見た時、どうして『姿くらまし』しちゃったんだい?印を見て喜ぶはずじゃない。違う?」
ロンの言葉にビルが肩を竦めた。
「ロン、頭を使えよ。連中がほんとうの『死喰い人』だったは、『例のあの人』が力を失った時、アズカバン行きを逃れるのに必死で工作したはずの連中なんだ。『あの人』に無理やりやらされて、殺したり苦しめたりしましたと、ありとあらゆる嘘をついたわけだ。『あの人』な戻ってくるとなったら、連中は僕たちよりずっと戦々恐々だろうと思うね。『あの人』が凋落したとき、自分たちはなんの関わりもありませんでした、と『あの人』が連中に対してお褒めの言葉をくださるとは思えないよ。だろう?」
「ルシウス・マルフォイなんて、もし『例のあの人』が戻ってきたら大変でしょうね。腹心だとも呼ばれていた人間だもの。『例のあの人』が戻ってきたらどんなことになる事やら·····」
私が薄ら笑いを浮かべるとアーサーおじさんが小さく頷いていた。
ルシウス・マルフォイは本当に『例のあの人』が戻ってきたら大変なことになるだろう。
「なら·····あの『闇の印』を打ち上げた人は·····」
ハーマイオニーが考え込むように呟き出した。
「『死喰い人』を支持するためにやったのかしら、それとも怖がらせるために?」
「ハーマイオニー、私たちにもわならない?でも、これだけは言える·····あの印の創り方を知っている者は、『死喰い人』だけだ」