第2章 授業と決闘【賢者の石】
鎧が飾られている長い回廊を歩いていれば、フィルチがどんどん近づいてきる足音が聞こえた。
その時、ネビルが突然恐怖のあまりに悲鳴をあげてやみくもに走り出したのである。
「·····ネビル!」
そして躓くとロンの腰に抱きつき、ロンはネビルと共に鎧にぶつかって倒れ込んだ。
すると城中の人が起きるんじゃないかというぐらいの音が鳴り響いたのである。
「逃げろ!」
ハリーが声を上げ、私たちは回廊を疾走する。
本当はフィルチが追いかけてきてないかを確認したいけれど、そんな余裕はない。
全速力で走り、廊下を駆け抜けてとしていれば、ハリーが『こっち!』とタペストリーの裂け目から隠れ抜け道を見つけたようで、私たちはそこに入り込んだ。
「·····妖精の呪文の教室の近くのようね。トロフィー室からだいぶ離れているわ」
「うん。フィルチを巻いたと思うよ」
私たちは息を弾ませていた。
額には汗が浮かんでいて、全速力で走ったせいか息が少ししにくい。
「だから·····そう·····言ったじゃない·····」
ハーマイオニーが胸を抑えながら言い、ロンも息をはずませながら言う。
「グリフィンドール塔に戻らなくちゃ、できるだけ早く」
「アリアネの言う通り、マルフォイにはめられたのよ。ハリー、あなたもわかってるんでしょう?はじめから来る気なんてなかったんだわ。マルフォイが告げ口したのよね。だからフィルチが誰かがトロフィー室に来るって知ってたのよ」
「本当に、マルフォイは根性が曲がってるわ。明日、躾てやらなきゃ」
「辞めなさい、アリアネ。なんでこう、貴方は好戦的なのよ·····。本当に、呆れるわ·····」
「こういう性格なのよ·····。名付け親にも同じこと言われたことあるわ·····」
小さい頃、喧嘩っ早くて直ぐに好戦的な私について名付け親は困り果てた顔をしながらため息をよく吐いていた。
『君はなんで、こうも好戦的なんだろうね·····。きっと、ウィリアスに似たんだね。全く、困ったものだよ』
そう言いながらも、名付け親は私の頭をよく撫でてくれた。
叱るけれども、優しい人だったなと懐かしさに浸っていればハリーが私たちを見てから告げる。
「行こう」
だけど、ほんの十歩と進まないうちにドアの取っ手がガチャガチャと鳴る音が聞こえて、教室から何かが飛び出してきた。