第16章 闇の印【炎のゴブレット】
「あの印を創ったヤツを」
「いや。バーティ・クラウチのしもべ妖精がハリーの杖を持っているのを見つけたが、あの印を実際に創り出したのが誰かは、皆目わならない」
「「「えーっ!?」」」
アーサーおじさんが説明すると、ビルとチャーリーとパーシーが同時に叫んだ。
かなり驚いているようで目も見開かせていて、口をあんぐりと開けている。
「ハリーの杖?」
「クラウチさんのしもべ?」
私、ハリー、ロン、ハーマイオニーが話を補いながらアーサーおじさんが森での一部始終の事を話した。
5人が話終えると、何故かパーシーは憤然と反り返った。
「そりゃ、そんなしもべをお払い箱にしたのは、まったくクラウチさんが正しい」
パーシーの言葉に、ハーマイオニーが目を見開かせてから怒りを顕にしだしたのがわかった。
「逃げるなとはっきり命令されたのに逃げ出すなんて·····魔法省全員の前でクラウチさんに恥をかかせるなんて·····ウィンキーが『魔法生物規制管理部』に引っ張られたら、どんなに体裁が悪いか──」
「ウィンキーはなにもしてないわ。間の悪い時に間の悪い所に居合わせただけよ!」
ハーマイオニーが噛み付くように言うと、パーシーは不意を食らったような表情を浮かべる。
珍しくハーマイオニーとパーシーの馬が合っていない事に少しだけ驚く。
この2人はいつも話が合って、馬が合う仲だったから。
「ハーマイオニー。クラウチさんのような立場にある方は、杖を持ってムチャクチャをやるような屋敷しもべを置いておくことは出来ないんだ!」
「ムチャクチャなんかしてないわ!あの子は落ちていた杖を拾っただけよ!」
言い争いが起きそうと思っていた時だ。
ロンが待ちきれないように、あることを尋ねた。
「ねえ、だれか、あの髑髏みたいなのがなんなのか、教えてくれないかな?別にあれが悪さしたわけでもないのに·····なんで大騒ぎするの?」
「言ったでしょ。ロン、あれは『例のあの人』の印よ」
ハーマイオニーが誰よりも先に答えた。
「私、『闇の魔術の興亡』で読んだわ」
「それに、この13年間、1度も現れなかったのだ」
「それなのに今日現れたのよ。あれが現れたということはヴォ·····『例のあの人』が戻ってきたと言っているのも当然なのよ」
私は危うく『ヴォルデモート』と言いそうになってしまった。