第16章 闇の印【炎のゴブレット】
アーサーおじさんが、私とハーマイオニーに『早くおいで』と合図しながら急いで言う。
「でも、今はしもべ妖精の権利を論じているときじゃない。なるべく早くテントに戻りたいんだ。ほかのみんなはどうしたんだ?」
「暗がりで見失っちゃった」
「それで私達、フレッド達を探すのにあそこにいたの」
「なるほど」
結局フレッド達の姿は見つからなかった。
もしかしたらテントに戻っているかもしれないと思いながら、足早に向かう。
「それにしても、パパ。どうしてみんな、あんな髑髏なんかでピリピリしてるの?」
「テントに戻ってから全部話してやろう」
ロンは知らないんだ。
でも知らない方が良かったのかもしれないと思いながら、森のはずれまで辿り着いた時に足止めを食らった。
怯えた魔女や魔法使いたちが大勢そこに集まっていて、アーサーおじさんを見つけると一斉にこちらにやって来たのだ。
「あっちで何があったんだ?」
「だれがあれを創り出した?」
「アーサー、もしや『あの人』?」
次々と質問が投げかけられる中で、アーサーおじさんは軽くかぶりを振った。
「いいや、『あの人』じゃないとも。誰なのか分からない。どうも『姿くらまし』したようだ。さあ、道を空けてくれないか。ベッドで休みたいんでね」
アーサーおじさんは私たちを連れて、群衆を掻き分けながらキャンプ場へと戻った。
キャンプ場は静かで、あの仮面の集団は既にいなかった。
だが壊されたテントや燃やされたテントがいくつかある。
禍々しい光景を見ていれば、チャーリーがテントから顔を突き出していた。
「父さん、何が起こってるんだい?フレッド、ジョージ、ジニーは無事戻ってるけど、他の子が」
「私と一緒だ」
アーサーおじさんが先にテントの中に入り、私達もそれに続いてテントの中に入った。
そして中での光景に私は目を見開かせる。
ビルはシーツを腕に巻き付けたいて、シーツが赤く染っている。
チャーリーのシャツは大きく裂けていて、パーシーは鼻血を流していた。
「ビル達怪我してる!」
「ああ、このぐらい平気だよアリアネ」
ビルは真っ青になっていく私の頭を撫でながら、優しく微笑んできた。
でも怪我は痛そうで、シーツが赤く染っているのを見ると怖くなってしまう。
「それで、捕まえたのかい?父さん」
ビルが鋭い語調でアーサーおじさんに尋ねた。