第16章 闇の印【炎のゴブレット】
ウィンキーは座ったまま、激しく荒い息遣いになり体を前後に揺すり始めた。
その怯えように可哀想になってきたが、口を挟めずにエイモスさんを見つめる。
「見てのとおり、しもべよ、今しがた『闇の印』が打ち上げられた。そしておまえは、その直後に印の真下で発見されたのだ!申し開きがあるか!」
「あ、あ、あたしはなさっていませんです!あたしはやり方をご存知ないでございます!」
ウィンキーは甲高い声を出しながら首を横に振る。
「おまえが見つかったとき、杖を手に持っていた!」
エイモスさんはウィンキーの目の前で杖を振り回した。
その時、ハリーが声を上げた。
「あれ、それ、僕のだ!」
「ハリーの?」
その場にいた全員がハリーを見た。
「なんと言った?」
エイモスさんが驚いたようにハリーに聞く。
「それ、僕の杖です!落としたんです!」
「落としたんです?」
エイモスさんが信じられないと言わんばかりにハリーの言葉を繰り返して彼に疑いの目を向けた。
「自白しているのか?『闇の印』を創りたわしたあとで投げ捨てたとでも?」
「エイモス、いったい誰に向かってとのを言ってるんだ!」
アーサーおじさんが口調を荒らげ、怒りを顕にしながら叫んだ。
私も怒って叫びそうになったが、その前にアーサーおじさんが怒ったので口を閉ざした。
「いやしくもハリー・ポッターが、『闇の印』を創り出すことがありえるか?」
「あー、いや、そのとおり──。すまなかった·····どうかしてた·····」
「それに、僕、落としたんじゃありません」
ハリーは髑髏の下にある木立の方を指さした。
「森に入ったすぐあとになくなっていることに気づいたんです」
「すると」
エイモスさんの目が厳しくなった。
そしてウィンキーを見下ろしてから、威圧感がある言葉を投げかける。
「しもべよ。おまえがこの杖を見つけたのか、え?そして杖を拾い、ちょっと遊んでみようと、そう思ったのか?」
「あたしはそれで魔法をお使いになりませんです!」
ウィンキーはボロボロと涙を流した。
「あたしは·····あたしは·····たはだそれをお拾いになっただけです!あたしは『闇の印』をおつくりになりません!やり方をご存知ありません!」
「ウィンキーじゃないわ!」
ハーマイオニーが緊張した様子で叫んだ。