第16章 闇の印【炎のゴブレット】
刺すかのような瞳に、私は眉間に皺を寄せる。
この人はもしかして、『闇の印』を出したのを私たちの誰かだと思っているのだろうか。
「おまえたちの誰が『闇の印』を、出したのだ?」
「僕たちかやったんじゃない!僕たち、なんにもしてないよ!」
ロンは地面に伏せた時に肘をぶつけたようで、肘を撫でながら憤慨していた。
「なんのために僕たちを攻撃したんだ!」
「白々しいことを!おまえたちは犯罪の現場にいた!」
「バーティ」
叫ぶクラウチに、長いガウンを着た魔女が囁く。
「みんな子供じゃないの。バーティ、あんなことが出来るはずは」
「おまえたち、あの印はどこから出てきたんだね?」
アーサーおじさんが素早く私たちに聞いてきて、ハーマイオニーが答えた。
「あそこよ。木立の陰に誰かがいたわ……何か叫んだの。呪文を」
「ほう。あそこに誰かが立っていたと言うのかね。呪文を唱えたと言うのかね?お嬢さん、あの印をどうやって出すのか、大変よくご存知のようだ」
そこで私の中で何ががプツンと切れた。
「いい加減にしてちょうだい!私やハリーは、『闇の印』を作り出した人間に、ヴォルデモートに両親を殺されているのよ!」
私の叫びに、魔法省たちの役人とクラウチが目を見開かせた。
そして直ぐに隣に立っているハリーへと視線を向けて、額へと目を向ける。
それから直ぐに私へと視線を向けてきた。
「誰が親を殺したヴォルデモートの『闇の印』を出すものですか!疑うのもいい加減にしてちょうだい!」
「落ち着いて、アリアネ……」
「ハリー・ポッターとアリアネ・イリアス・フリート……」
誰かが私とハリーの名前を呟いたた。
そして魔法省の役人達は一斉に杖を上げてから、暗い木立の間を透かすように見ながらハーマイオニーが言った方向に杖を向けた。
「遅すぎるわ。もう『姿くらまし』しているでしょう」
「そんなことはない」
すると、セドリックのお父さんであるエイモスさんが現れた。
「『失神光線』があの木立を突き抜けた……犯人に当たった可能性は大きい」
そう言うとエイモスさんは空き地を通り抜けて、突き進んでいく。
「エイモス、気をつけろ!」
そんな彼に魔法省の役人達の数名が警告する。
数秒後、エイモスさんの叫ぶ声が聞こえた。