• テキストサイズ

シリウスに導かれ【ハリーポッター❈救済】

第16章 闇の印【炎のゴブレット】


反応がない。
ハリーは立ち上がってから、木の影の向こう側を窺いながらもまた声をかける。

「どなたですか?」

その時だった。
返事ではなく、呪文を唱える声が聞こえきたのだ。

「モースモードル!」

すると、巨大な緑色に輝く何かが空へと舞い上がる。

「あれは、いったい──?」
「あれは……!?」

巨大な髑髏。
その口からは蛇が這い出ていて、緑色のモヤを背負って真っ黒な空を染め上げている。

この印は知っている。
知っているし、見たくもないものだ。
そう思っていると、周囲の森から爆発するかのような悲鳴があがった。

「だれかいるの?」

ハリーだけが、恐らくあの空に舞い上がる『印』を分かっていない。
私とハーマイオニーは慌てて腕と上着の背を掴んで引き戻していく。

「ハリー、早く。行くのよ!」
「ここから遠ざからなきゃ!」
「いったいどうしたんだい?」
「ハリー、あれ『闇の印』よ!『例のあの人』の印よ!」
「ヴォルデモートの?」
「そうよ!ヴォルデモートの印なのよ!だから急いで!」

急いでこの場を去らなければ。
そう思った時、ポンポンという音が聞こえてきた。
辺りを見渡せば、20人ぐらいの魔法使いたちが私たちを囲むようにいる。

ぐるりと辺りを見渡しながら困惑している時だ。
ハリーが突如叫んだ。

「伏せろ!」

ハリーが私たちを掴んで地面に引き下ろした、その時だった。

「麻痺せよ!」

20人の声が轟き、目が眩むような閃光が次々と走って、空き地に突風が走り抜ける。

今、私達は攻撃されそうになった。
そのことに冷や汗を浮かべていれば、聞き覚えのある声が聞こえた。

「やめろ!やめてくれ!わたしの息子だ!」

頭を少し高くあげれば、杖を上げていた魔法使いたちが一斉に杖を下ろしているのが見える。
そして身をよじれば、アーサーおじさんが真っ青な顔になってこちらにやってきた。

「ロン、ハリー、ハーマイオニー、アリアネ。みんな無事か?」
「どけ、アーサー」

無愛想な声が聞こえたかと思えば、こちらにやって来るのはクラウチだった。
ジリジリとクラウチと魔法省の役人と思える人達が、私たちに近づいてくる。

私とハリーが素早く立ち上がる。
すると、クラウチは怒りに顔を引き攣らせながら私たちに聞いてきた。

「だれがやった?」
/ 820ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp