第16章 闇の印【炎のゴブレット】
「なんてやつらだ!」
バクマンは突如そう叫ぶと、大声で罵ってから『姿くらまし』で居なくなってしまった。
私はそんな彼に唖然としながらも、誰もいなくなった目の前を見つめる。
「ちょっとズレてるわね、バクマンさんて。ね?」
「確かにちょっとズレてるわね」
「でも、あの人、すごいビーターだったんだよ」
なんて言いながら、ロンは私たちの先頭に立ってから小道を逸れ、ちょっとした空き地へと向かうと根元が乾いた草むらに座った。
そしてクラム人形をポケットから取り出すと、地面に置いて歩かせる。
「あの人がチームにいた時に、ウイムボーン・ワスプスが連続3回もリーグ優勝したんだぜ」
「へえ」
そんなにすごい人だったんだと思いながら、キャンプ場からの物音に耳をすませる。
シーンとしていて、暴動が収まったのかもしれない。
「みんな無事だといいけど」
「アーサーおじさん達、大丈夫かしら」
あの謎の仮面集団の元に向かったアーサーおじさん、ビル、チャーリーとパーシーは大丈夫かなと心配になる。
「大丈夫さ」
「君のパパがルシウス・マルフォイを捕まえたらどうなるかな」
ハリーがロンの隣に座って、そう言った。
「おじさんは、マルフォイの尻尾をつかみたいっていつも言ってた」
「そうなったら、あのドラコのイヤミな薄ら笑いも吹っ飛ぶだろうな」
「そうなったら凄くいいのに。もう私がマルフォイを殴らなくて済むわ」
本当にルシウス・マルフォイが捕まえれば良いのに。
そう思いながら、葉の上をトボトボと歩くクラム人形を見つめた。
「でも、あの気の毒なマグルたち。下ろしてあげられなかったら、どうなるのかしら?」
「下ろしてあげるさ。きっと方法を見つけるよ」
「でも、今夜のように魔法省が総動員されてる時にあんなことするなんて、狂ってるわ」
「確かにそうよね……」
「あんなことしたら、ただじゃすまないじゃない?飲みすぎだのかしら、それとも、単に──」
ハーマイオニーが言葉を途切らせ、後ろを振り向いた。
私とハリー、ロンも急いで後ろを振り向いてから、眉間に皺を寄せる。
こちらに向かってヨロヨロとやってくる音が聞こえてくるのだ。
不規則な足音、その足音は突然止まった。
「だれかいますか?」
ハリーが足音が聞こえる方へと呼びかけた。