第16章 闇の印【炎のゴブレット】
バキッという鈍い音が森に響く。
そしてマルフォイの呻く声が聞こえてから、私はそっぽを向いて歩き出した。
「相変わらず、手がすぐに出るんだから」
「アイツは殴られないと分からないのよ」
「あいつの父親はきっと仮面団の中にいる。賭けてもいい!」
「そうね。うまくいけば、魔法省が取っ捕まえてくれるわ!」
そんなふうに言いながら、私たちはフレッドとジョージとジニーを探した。
いつの間にかあの3人とはぐれてしまっていたようで、あちこち見ても姿がない。
「まあ、いったいどうしたのかしら。あとの3人はどこに行っちゃったの?」
「どこにも姿がないわね……」
見当たらない姿に不安を覚えながら歩いていれば、道の先でパジャマ姿のティーンエイジャー達が固まって何か言い争っているのが見えた。
すると彼女たちは私たちの姿を見つけると、こちらに駆け寄ってきて早口に話しかけてくる。
「ウ エ マダム マクシーム?ヌ ラヴォン ペルデュー(マクシーム先生はどこにいるのかしら?先生を見失ってしまったわ)」
「え、なに?」
「何語……?」
「オゥ……」
女の子はくるりと私たちに背を向けてしまい、私たちは首を傾げながら通り過ぎた時『オグワーツ(ホグワーツよ)』と言うのが聞こえてきた。
「ボーバトンだわ」
ハーマイオニーがボソリと呟く。
「え?」
「きっとボーバトン校の生徒たちだわ。ほら……ボーバトンアカデミー……私、『ヨーロッパにとける魔法教育の一考察』でそのこと読んだわ」
「あ……うん……そう」
「ホグワーツじゃない学校の生徒ってことね……」
そこまで勉強しているなんて……と思いながら私は息を吐き出す。
全然歩き進めてもフレッド達の姿が見当たらない。
「フレッドもジョージも、そう遠くへは行けないはずだ」
「ルーモス(光よ)!何処か近くにいないかしら」
私とロンは杖で灯りを点しながら辺りを見渡す。
「あれ、いやだな。そんなはずは……僕、杖を無くしちゃったよ!」
「冗談だろ?」
「いやだ、無くしたの?落ちてないかしら」
私とロンとハーマイオニーは杖をたかくあげてから、道を照らしてみた。
そしてハリーは地面を隈なく探し始めたが、見つからないようだ。
「テントに置き忘れたかも」
「走ってる時にポケットから落ちたのかもしれないわ」
「ああ。そうかもしれない……」