第16章 闇の印【炎のゴブレット】
ロンはそんなマルフォイへと悪態を吐いた。
モリーおばさんが居たら、怒るか失神するかどちからのような発言に私は目を丸くさせる。
「言葉には気をつけるんだな。ウィーズリー。君たち、急いで逃げた方がいいんじゃないのかい?その女が見つかったら困るんじゃないのか?」
マルフォイがハーマイオニーのほうを見てから顎をしゃくる。
その時、爆弾が破裂するような音がキャンプ場から響いてきた。
そして緑色の閃光が木々を一瞬だけ照らす。
「それ、どういう意味?」
「グレンジャー、連中はマグルを狙ってる。空中で下着を見せびらかしたいかい?それだったら、ここにいればいい……連中はこっちへ向かっている。みんなでさんざん笑ってあげるよ」
「何を言ってるのかしら。ハーマイオニーは立派な魔女よ」
「そうだ。ハーマイオニーは魔女だ」
「勝手にそう思っていればいい。フリート、ポッター。連中が『穢れた血』を見つけられないとでも思うなら、そこにじっとしてればいい」
「口を慎め!」
「腐った血が偉そうなことを言わないでちょうだい。もう一度言うわ、ハーマイオニーは立派な魔女よ。お前よりも立派な魔法使いだわ」
マルフォイを睨んでいれば、ハーマイオニーが一歩踏み出していた私とロンを制止させた。
「気にしないで、ロン、アリアネ」
その時だった。
森の反対側から先程よりも大きな爆発音が響いてきて、周りにいた数人の人達が悲鳴をあげる。
「臆病な連中だねぇ?」
マルフォイは気だるそうに言う。
「君のパパが、みんな隠れているように言ったんだろう?いったい何を考えているやら──マグル達を助け出すつもりかねぇ?」
「そっちこそ、君の親はどこにいるんだ?」
ハリーが怒りを込めた声でマルフォイに訊ねた。
「あそこに、仮面をつけているんじゃないのか?」
「さあ……そうだとしても、僕が君に教えてあげるわけないだろう?ポッター」
「さあ、行きましょうよ」
ハーマイオニーが私の腕を引っ張った。
行こうと何度も引っ張るので、私はマルフォイから背を向けて歩き出そうとする。
「さあ、ほかの人たちを探しましょう」
「そのでっかちのボサボサ頭をせいぜい低くしているんだな、グレンジャー」
「ちょっとまってて、ハーマイオニー」
私はハーマイオニーの手を、自分の腕から取るとマルフォイへと近付いて、その画面に拳を入れた。