第2章 授業と決闘【賢者の石】
「·····太った婦人、出掛けているみたいね」
「さあ、どうしてくれるの?」
ハーマイオニーはぎろりと私たちを睨みつけてくる。
だけれど、ロンとハリーは全く気にせずにいた。
「知ったことか」
「僕たちはもう行かなきゃ。遅れちゃうよ。行くよ、アリアネ」
私は再度、ハーマイオニーに謝ってから二人と共に歩き出した。
だけどハーマイオニーは私たちを追いかけてきたのである。
「一緒に行くわ」
「ダメ。来るなよ」
「ここに突っ立ってフィルチに捕まるのを待ってろと言うの?四人とも見つかったら私、フィルチに本当のことを言うわ。私はあなたたちを止めようとしたって。あなたたち、私の証人になるのよ」
「君、相当の神経してるぜ·····」
「ハーマイオニー、お願い見逃してちょうだい」
なんて話していれば、ハリーが私の言葉を遮った。
「シッ。三人とも静かに。なんか聞こえるぞ」
「ミセス・ノリスか?」
「それとも·····フィルチかしら」
コソコソと話しながら、目を凝らしていればそこに居たのはミセス・ノリスでもなければフィルチでもなかった。
床で丸まって眠っているネビルがそこにいた。
「ネビル·····?」
声をかけて忍び寄れば、ネビルはビクッと身体を震わせて目を覚ました。
「ああよかった!見つけてくれて。もう何時間もここにいるんだよ。ベッドに行こうとしたら新しい合言葉をわすれちゃったんだ」
「小さい声で話せよ、ネビル。合言葉『豚の鼻(ピックスナウト)』だけど、いまは役に立ちゃしない。太った婦人はどこかへ行っちまった」
「ネビル、貴方ずっとここで待っていたのね·····寒かったでしょう?」
「腕の具合はどう?」
ハリーの言葉にネビルは表情を明るくさせて、腕を見せてくる。
「大丈夫。マダム・ポンフリーがあっという間に治してくれたよ」
「それは良かったわ」
「ああ、よかったね。悪いけど、ネビル、僕たちはこれから行くところがあるんだ。また後でね」
「そんな、置いていかないで!」
私たちが行こうとすれば、ネビルは慌てて立ち上がって私たちを引き止めてくる。
「ここに一人でいるのは嫌だよ。『血みどろ男爵』がもう二度もここを通ったんだよ」
「隠れていればいいじゃないの」
なんて話していれば、ロンが腕時計を見てからハーマイオニーとネビルを睨みつけた。