第2章 授業と決闘【賢者の石】
その日の夜。
私は女子寮には戻らずに、グリフィンドールの談話室にてハリーとロンを待っていた。
暫くすると、足音が聞こえたので二人が来たかなと思えば、そこには腕組みしながら私を見下ろしているハーマイオニーの姿。
「アリアネ、貴方はもう少し賢いと思っていたわ。なんでそこまでしてあの二人に加担するのかしら」
「·····ハーマイオニー。だって流石にマルフォイは許せないわ」
「それは分かるけれど、規則を破るのは良くないわ」
「確かにそうだけれど·····」
ハーマイオニーは私が腰掛けているソファに座る。
少しだけぎしりとソファが音を立てていれば、階段を降りてくる足音が聞こえた。
恐らく、次こそはハリーとロンである。
するとハーマイオニーは勢いよく立ち上がった。
「ハリー、まさかあなたがこんなことをするとは思わなかったわ」
「ごめん、ハリー、ロン。ハーマイオニーが気付いていたみたい」
「また君か!ベッドに戻れよ!」
ロンは怒りながらハーマイオニーに言うが、彼女はそれを無視する。
「本当はあんたのお兄さんに言おうかと思ったのよ。パーシーに。監督生だから、絶対にやめさせるわ」
「行くぞ、ハリー、アリアネ」
「ハーマイオニー、貴方はベッドに戻っててちょうだい。お願い、今日は見逃して」
そう言ってから、私は二人に続いて太った夫人の肖像画を押しのけて談話室を出る。
だけれど、ハーマイオニーはベッドに戻らずになんと私たちについてきたのだ。
「ハーマイオニー·····!?」
「グリフィンドールがどうなるか気にならないの?自分のことばっかり気にして。スリザリンが寮杯を取るなんて私はいやよ。私とアリアネが変身呪文をしってたおかげでマクゴナガル先生がくださった点数を、あなた達がご破算にするんだわ。アリアネ、貴方は自分が貰った点数をご破算にするつもり?」
「あっちへ行けよ」
「ごめんなさい、ハーマイオニー」
ロンが冷たいく言い放ち、私が謝ればハーマイオニーは眉間に皺を寄せていた。
「いいわ。ちゃんと忠告しましたからね。明日家に帰る汽車の中で私の言ったことを思い出すでしょうよ。あなたたちは本当に·····」
そう言いながら、ハーマイオニーは中に入ろうとしたが入れなかった。
何せ、肖像画の中に居るはずの太った婦人が居なくなっているから。