第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
「ご紹介いたしましょう。こちらはオブランスク大臣……オバロンスクだったかな。ミスター、ええと、とにかく、ブルガリア魔法大臣閣下です。どうせわたしの言っていることは一言もわかっとらんのですから。まあ、気にせずに。ええと、他には誰か……アーサー・ウィーズリー氏はご存知でしょうな?」
一瞬、緊張が走った。
アーサーおじさんとルシウスが睨み合う姿に、私達は息を飲む。
最後にこの2人が会ったのは、フローリシュ・アンド・ブロッツ書店。
2人はそこで大喧嘩をしたことを、今も鮮明に覚えている。
ルシウスは冷たい灰色の目で、アーサーおじさんを見ると、列の端から端まで眺めた。
その瞳は嫌な程に冷めている。
「これは驚いた、アーサー。貴賓席の切符を手に入れるのに、何をお売りになりましたかな?お宅を売っても、それほどの金にはならんでしょうが?」
相変わらず嫌味な男。
私はルシウスを威嚇するように睨んでいた。
「アーサー、ルシウスは先ごろ、聖マンゴ魔法疾患傷害病院に、それは多額の寄付をしてくてね。今日は私の客として招待なんだ」
「それは、それは結構な」
「どうせ見栄の為の寄付だろうけどね」
ボソリと私が呟くと、ルシウスと目が合う。
「これはアリアネ・イリアス・フリート。見ない間に随分とお美しく成長されたようで?」
「思ってもいないことを言わなくても結構ですよ、ルシウスさん」
「その性格、やはりウィリアスそっくりだ。年々とお父上とお母上、どちらにも似てきたようだ。そう……あのお母上にね」
そう言いながら、ルシウスはハーマイオニーへと視線を向けた。
ハーマイオニーは顔を赤くさせていたけれど、ルシウスを睨み返す。
するとルシウスの口元にやりと歪み、軽蔑したような目を向ける。
この一族は相変わらず苦手だ。
自分たちが純血であることを馬鹿みたいに誇りに思っていて、マグルを見下している。
私の母さんまで見下しているから、あんなふうな言い方をしたのだろう。
「私は母に似ていることを誇りに思っていますよ。何処かの誰かさんと違って、嫌な似方はしていないと思いますし」
たっぷりと嫌味を込めてから言葉を投げかけると、ルシウスは私に冷たい目を向けてきた。
だけど別にそんなこと気にならないし、たった14歳の小娘にこんな反応をして馬鹿らしい。