第2章 授業と決闘【賢者の石】
そしてマルフォイ達が姿を消すと、ハリーが私とロンへと視線を向けて囁いてくる。
「魔法使いの決闘って何だい?君が僕の介添人ってどういうこと?」
「介添人っていうのは、君が死んだら僕が戦うという意味さ。やっぱりアリアネは審判じゃなくて、僕の介添人になってもらおうかな」
「別にそれでも構わないわ」
糖蜜パイを口にしていれば、少しだけハリーの顔色が悪くなったのに気がついた。
それを見たロンは慌てて付け加える。
「死ぬのは、本当の魔法使い同士の本格的な決闘の場合だけだよ。君とマルフォイだったらせいぜい火花をぶつけ合う程度だよ。二人とも、まだ相手に本気のダメージを与えれるような魔法なんて使えない。マルフォイはきっと君が断ると思っていたんだよ」
「もし僕が杖を振っても何も起こらなかったら?」
「杖なんて捨てちゃえ。鼻にパンチを食らわせろ。アリアネもよくやってるよ。杖無しに決闘して、よく勝ってるんだ」
「ええ、杖で来ると思ってるから素手でやるといいわ。あっちも素手で来るとは思っていないから、いい手段と思うわ」
なんて話している時であった。
「ちょっと、失礼」
声が聞こえて三人で見上げると、そこにはハーマイオニーが立っていた。
するとロンが顔を顰めて嫌味を言う。
「まったく、ここじゃ落ち着いて食べることもできないんですかね?」
「聞くつもりはなかったんだけど、あなたとマルフォイの話が聞こえちゃったの·····」
「聞くつもりがあったんじゃないの」
ハーマイオニーはロンの言葉は完全に無視していて、視線はハリーに向かっている。
「·····夜、校内をウロウロするのは絶対ダメ。もし捕まったらグリフィンドールが何点減点されるか考えてよ。それに捕まるに決まってるわ。まったくなんて自分勝手なの」
「全く大きなお世話だよ」
「バイバイ」
「ハリー、ロン·····貴方たちねえ」
流石にその態度は駄目でしょうと思ったが、二人はもうハーマイオニーのことなんて無視していた。
「ハーマイオニー、多分大丈夫よ。もし捕まったら、マルフォイたちがトロフィー室にいるって言いつけるから」
「全くもって、大丈夫じゃないわ!貴方も止めなさいよ、アリアネ!」
「ごめんね、ハーマイオニー。マルフォイが伸びてる姿が見たいの。写真撮ってホグワーツにばら撒きたいわね」
「アリアネ!」