第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
その時だった。
どこかの森から、ゴーンという響く音が耳に飛び込んでくる。
同時に木々の間から赤と緑のランタンがいっせいに灯り、競技場への道を照らし出した。
「いよいよだ!さあ、行こう!」
アーサーおじさんは皆に負けず劣らずに興奮していた。
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アーサーおじさんを先頭にして、みんな急ぎ足でランタンに照らされている小道を歩き出した。
そこらからは、笑ったり叫んだり歌ったりする声が聞こえてくる。
私も楽しみでハリーたちと笑ったりふざけたりしながら、森の中を20分ほど歩いた。
ついに森の外れに出る、そこは巨大スタジアムと影が私たちを出迎えた。
競技場を囲む壮大な黄金の壁しか見えない。
「10万人は入るよ」
アーサーおじさんはそう説明をした。
「魔法省の特務隊500人が、まる1年がかりで準備したのだ。『マグル避け呪文』で一分の隙間もない。この1年というもの、この近くまで来たマグルさ、突然急用を思いついて慌てて引き返すことになった……気の毒に」
本当に気の毒には思っていない言い方をするアーサーおじさんに笑ってしまった。
その後、おじさんは先に立って1番近い入口に向かっていく。
そこでは既に魔法使いや魔女がぐるりと群がり、大声で叫びあっている。
「特等席!」
魔法省の魔女が入口で切符を検めながら叫ぶ。
「最上階貴賓席!アーサー、まっすぐ上がって。1番高いところまでね」
観客席への階段は深紫色の絨毯が敷かれていて、それを踏みながら私達は階段を上がっていく。
いよいよ階段のてっぺんに辿り着くと、そこには小さなボックス席があった。
観客席の最上階、しかも両サイドにある金色のゴールポストのちょうど中間に位置している。
「わあ!!凄い席ね!」
「本当ね!最上階だから凄く見渡せるわ!」
私とハーマイオニーははしゃぎながら辺りを見渡しながら、席をちらりと見た。
紫に金箔の椅子が20席ほど2列に並んでいて、私達は前列に並んだ。
「本当に凄いわ……」
10万人の魔法使いたちが着席しているスタンドは、細長い楕円形のピッチに沿って階段上にせり上っている。
その光景を見ていれば、ハリーに肩をトントンと叩かれた。
「どうしたの、ハリー」
「あれ……」
ハリーが不思議そうにしながら指を差した。