第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
「かなり。五大陸にわたって『移動キー』を組織するのは並大抵のことではありませんぞ。ルード」
「2人とも、これが終わったらホッとするだろうね」
アーサーおじさんの言葉に、バグマンが目を見開かせて驚いた顔をする。
「ホッとだって!こんなに楽しんだことはないのに……それに、その先も楽しいことが待ち構えているじゃないか。て?バーティ?そうだろうが?まだまだやることがたくさんある。だろう?」
「まだその事は公にしないとの約束だろう。詳細が、まだ──」
「ああ、詳細なんか!」
バグマンは鬱陶しそうに手を振る。
「皆、署名したんだ。そうだろう?みんな合意したんだ。そうだろう?ここに居る子供たちには、どのみちまもなく分かる事だ。賭けてもいい。だって、事はホグワーツで起こるんだし──」
事はホグワーツで起きる。
それは一体なんだろうかと、私はハーマイオニーと顔を見合わせた。
バグマンは言葉を続けようとしたが、クラウチがそれを遮った。
「ルード、さあ、ブルガリア側に会わないと。お茶をご馳走様、ウェーザビー君」
ほとんど飲んでいないお茶を、クラウチはパーシーに押し付けるように返してから、バグマンが立ち上がるのを待っていた。
バグマンはお茶の残りを飲み干してから、ポケットの金貨で音を鳴らしながら立ち上がる。
「じゃ、あとで!みんな、貴賓席で私と一緒になるよ。私が解説するんだ!」
本当にバグマンは子供みたいな人だ。
とても楽しそうにはしゃぎながら、私達を手を振る。
クラウチは軽く頭を下げてから、2人とも『姿くらまし』で消えていった。
「パパ、ホグワーツで何があるの?あの2人、何のことを話してたの?」
フレッドが私たちが気になっていたことを、すかさずアーサーおじさんに聞いた。
「すぐにわかるよ。魔法省が解禁するときまでは機密情報だ」
「クラウチさんが明かさなかったのは正しいことなんだ」
パーシーが頑なにいうと、フレッドが軽く睨んだ。
「おい、黙れよ、ウェーザビー」
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夕暮れ時。
段々と試合時間が近づく度に、集まっている魔法使い達は興奮していた。
そして夜の帳が降りると、その興奮を最大限になって慎みが吹き飛んでいく。
魔法の印があちこちで飛び、魔法省はお手上げと言わんばかりにもう飛んでいくのを辞めていた。