第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
「ちょっとロン!ビルとチャーリーに言わなくてもいいでしょう!」
揶揄われると分かっていたから、話したくなかったのにと思いながら不貞腐れているとビルが頭を撫でてきた。
「恋人が出来たら、ちゃんと紹介するんだよ。アリアネの兄として見分けてやるから」
「ちゃんとした男か見分けてやるからな」
「……うん」
恋人という言葉に私はピクリと肩を跳ねさせる。
惹かれている人はいるけれど、まだ好きという訳じゃないと言い訳しているけど……。
(シリウスとそういう関係になれたら……)
そう思った瞬間、慌てて首を横に振る。
するとハーマイオニーと目が合って、意味深な目を向けられた。
そしてニヤリと笑われて、私は慌ててソーセージを食べて何も考えていなかった風に装った。
卵とソーセージがだいぶ無くなってきた時、アーサーおじさんが急に立ち上がった。
全員でどうしたのだろうと思って外に視線を向ければ、大股でこちらにやってくる魔法使いがいた。
「これは、これは!時の人、ルード!」
ルード・バグマンはかなり目立った人だった。
鮮やかな黄色と黒の太い横縞が入ったクィディッチ用の長いローブを着ていて、胸には巨大なスズメバチが一匹描かれている。
(この人がルード・バグマンかあ。初めて見るなあ)
印象に感じたのは、逞しい体付きがそのまま少したるんだ感じである。
「よう、よう!」
バグマンは嬉しそうにしながら、弾んでこちらにやってきた。
完全に興奮状態なのが目に見えている。
「わが友、アーサー!どうだい、この天気は。え?どうだい!こんな完全な日和はまたとないだろう?今夜は雲ひとつないぞ……それに準備は万全……俺の出る幕はほとんど無いな!」
興奮状態で話すバグマンの背後では、げっそりとやつれている魔法省の役人が数人、遠くの方で魔法火が燃えている印を指さして急いで通り過ぎていた。
そんな光景を見ていれば、パーシーがバクマンへと握手を求めていた。
「ああ、そうだ。私の息子のパーシーだ。魔法省に務めはじめたばかりでね。こっちはフレッド、おっと、ジョージだ。すまん、こっちがフレッドだ。ビル、チャーリー、ロン、娘のジニーだ。それからロンの友人のハーマイオニー・グレンジャーとハリー・ポッターとロンの幼馴染のアリアネ・イリアス・フリートだ」