第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
リボンに触れながら、フレッドを見上げると、何故か心底気に入らないという表情を浮かべていた。
「フレッド?」
「気に食わないけど、似合ってる」
そう呟くとフレッドはリボンにキスを落とした。
「今度は俺が何か贈るから、お楽しみに」
にっこりと笑ったフレッドはそのまま何処かへと行ってしまい、私はその言葉の意味を理解しながらもリボンにもう一度触れる。
「何が気に食わないのかしら……」
そう呟きながら、テントの外を見れば魔法省の役人が次々と忙しなく行き交っていた。
どうやらこのテントは、競技場の大通りに面しているらしい。
魔法省の役人はアーサーおじさんに丁寧に挨拶をして、アーサーおじさんはひっきりなしに解説していたけれど、私やウィーズリー兄妹は知っていることなのでそこまで関心が無かった。
なのでアーサーおじさんはハリーとハーマイオニーに解説するようになった。
「今のはカスバート・モックリッジ。小鬼連絡室の室長だ……いまやってくるのがギルバート・ウィンプル。実験呪文委員会のメンバーだ。あの角が生えてからもうずいぶんたつな……やあ、アーニー……アーノルド・ピーズグッドだ。『忘却術士』。ほら、『魔法事故リセット部隊』の隊員だ……そして、あれがボードとクローカー『無言者』だ……」
「え?なんですか?」
「神秘部に属している。極秘事項だ。いったいあの部門は何をやっているのやら……」
遂に火の準備が整い、卵とソーセージを料理しばめた途端だった。
ビルとチャーリー、パーシーが森の方からゆっくりと歩いてきていた。
「パパ、ただいま『姿現わし』ました」
「ああ、ちょうどよかった。昼食だ!」
皆で食事を始めた時、ビルが私へと手を伸ばしてからリボンに触れた。
「こんなリボン、していたっけ?」
「ああ、これね貰い物なのよ。今日貰ったの」
「へえ。男から?」
「それな、セドリック・ディゴリーっていうハッフルパフのイケメンから貰ったやつなんだよ。アリアネに告白してフラれたけれど諦めてない男」
ロンがニヤリとしながら説明すると、ビルとチャーリーが『ヒューッ』と口笛を吹く。
そして私がつけているリボンに触れながら、2人ともニヤニヤとする。
「そうかそうか、アリアネは美人だからなあ。モテるんだねえ」
「もう恋愛云々の年頃かあ。成長したなあ」