第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
直ぐに瞼の裏で思い浮かべれる。
シリウスのあの笑った表情や色んなもの全てが思い浮かんだ中で、額にキスされた事も思い出してしまう。
顔が赤くなってるんじゃないだろうか。
そう思いながら慌てて頬を抑えていれば、セドリックが私の頬に手を添えてきた。
「君に惹かれられている人間が羨ましいな」
「セドリック……」
「僕もそうならないといけないかな」
「え?」
「君が惹かれている人間がいるからって、諦めた訳じゃないよ。僕に惹かれてもらえるように頑張るさ」
ウインクをしたセドリックに私は苦笑を浮かべる。
そこまでして私を好きでいてくれなくてもいいのに……と思ったけれど、それは口に出さなかった。
「諦めないのね」
「諦める?それはないね。だって君は僕の初恋だからね。それじゃあ、僕はそろそろ戻るよ。ワールドカップ、楽しもうね」
「ええ、楽しみましょうね」
セドリックは手を振りながら歩いて行った。
そんな彼の背中を見送りながら、私は彼から貰ったリボンに触れる。
「初恋……」
私の初恋は呆気なく終わった。
次の恋はどんなものになるのだろうか、もしかしたらセドリックに惹かれる事もあるのだろうか。
そう思いながら、水汲み場へと急いだ。
水汲み場へと向かっていれば、3人がこちらに戻ってきているのが見えた。
手を振ればハーマイオニーが振り返してくれる。
「あら、アリアネ。どうしたのよその髪」
「セドリックが誕生日プレゼントにって、リボンをくれたのよ」
「あの人、本当に君に惚れているんだな。フラれたのに諦めないところが凄いや」
「それほど一途なのでしょうよ。でも、アリアネは今惹かれている人がいるから諦めた方が良いでしょうに。ねえ?」
「ハーマイオニー、最近私で揶揄うの楽しんでない?」
ジロリとハーマイオニーを睨めば、彼女は肩を竦めながらクスクスと笑う。
「そういえば、さっきウッドに会ったんだ」
「そうなのね!元気にしてた?」
「元気だったさ。プロチームのパドルミア・ユナイテッドと二軍入りの契約を交わしたんだって」
「そうだったのね!あ、ハーマイオニー。ヤカン持つわ」
「ありがとう」
しばらくすれば、ハッフルパフの4年生のアーニー・マクミランと出会った。
そして次にはレイブンクローのチョウ・チャンと出会ったが、チョウはハリーに手を振っていた。