第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
テントの中は古風なアパートのようになっている。
寝室とバスルーム、キッチンの三部屋であり、家具や置物がちゃんとある。
「ね、案外広いでしょう?」
「驚いたわ……魔法でこうなっているのね」
「アパートの中みたいだ」
ハリーとハーマイオニーは驚いた様子で中を見回していた。
「同僚のパーキンズから借りたのだがね。やっこさん、気の毒にもうキャンプはやらないんだ。腰痛で」
アーサーおじさんは埃まみれのヤカンを取り上げると、中を覗いた。
「水がいるな……」
「マグルがくれた地図に、水道の印があるよ」
私のあとからテントに入ってきたロンが、地図を広げてから見せた。
「キャンプ場の向こう端だ」
「よし、それじゃ、ロン、お前はハリーとアリアネとハーマイオニーの4人で、水を汲みにいってくれないか」
アーサーおじさんはヤカンとソース鍋を3つ寄越してくれた。
「それなら、他の者は薪を集めにいこう」
「でも、竈があるのに。簡単にやっちゃえば?」
「ロン!マグル安全対策だ!本物のマグルがキャンプするときは、外で火を熾して料理するんだ。そつやっているのを見たことがある!」
恐らくアーサーおじさんはマグル式でやりたいんだろう。
楽しそうにしている姿を見て苦笑を浮かべながら、私達は一旦外に出た。
「私たちが泊まるテントも見てみましょう」
「さっきのテントの中と一緒かしら?」
「恐らく一緒よ。ジニー!テントの中見るけど、一緒に入る?」
「入る!」
私達は女子用のテントの中を見た。
少し男子用より小さいけれど、それなりに広さがあるテントだ。
「3人だけだから十分の広さね」
ジニーの言葉にハーマイオニーと共に頷いた。
「女子用のテントも見学したことだし、水を組みに行こう」
「あら、あたしはどうすればいいの?」
「ジニーは薪集めよ。アーサーおじさんの所に行っておいで」
そうして私達は水汲みに行く為に、テントが並ぶ中を歩いていった。
朝日が登り始め、霧も晴れると色んなテントが見える。
「本当に色んなテントがあるんだね」
「魔法使いのテントだって一目見て分かるわね」
そんな会話をしながら歩いている時だった。
肩をトントンと叩かれて、振り向けばそこにはセドリックの姿があった。
「セドリック!?どうしたの、キャンプ場違ったわよね?」
「ああ、うん、そうなんだけど……」