第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
するとマグルの男性も『おはよう』と挨拶をした。
「ロバーツさんですか?」
「あいよ、そうだが。そんで、お前さんは?」
「ウィーズリーです。テントを2張り、2、3日前に予約しましたよね?」
「あいよ」
ロバーツさんというマグルの男性は、アーサーおじさんの言葉を聞くとドアに貼り付けているリストを見ながら答えた。
「おめえさんの場所はあそこの森の傍だ。1泊だけかね?」
「そうです」
「そんじゃ、いますが払ってくれるんだろうな」
「え、ああ、いいですとも」
アーサーおじさんは小屋からちょっと離れると、困った顔をしながらもハリーを手招きをする。
支払いという事だから、マグルのお金で支払いをしなければならない。
アーサーおじさんはマグルの支払い方法を知らない。
だがらマグル育ちのハリーを読んだのだろうと思いながら、私もアーサーおじさんに近寄る。
「ハリー、手伝っておくれ。これはっと……10かね?あ、なるほど、数字が小さく書いてあるようだ。するとこれは5かな?」
「20ですよ」
「へえ……」
マグルのお札はややこしい。
そう思いながら見ていれば、ロバーツさんが怪訝そうな表情で私たちを見てきていた。
「ああ、そうか。……どうもよく分からんな。こんな紙切れ……」
「おめえさん、外国人かね?」
金額を揃えたアーサーおじさんに、ロバーツさんが怪訝そうな表情を浮かべながら訊ねた。
「外国人?」
「金勘定が出来ねえのは、おめえさんが初めてじゃねえ。10分ほど前にも、2人ばっかり、車のホイールキャップぐれえのでっけえ金貨出払おうとしたな」
「ほう、そんなのがいたかね?」
私たち全員がドキマギした。
恐らくそれは魔法使いだろうし、今私達は怪しまれているかもしれないと。
「今までこんなに混んだこたあねえ。何百ってぇ予約だ。客はだいたいフラッと現れるもんだが……」
「そうかね?」
「そうよ。あっちこっちからだ。外国人だらけだ。それもただの外国人じゃねえ。変わりもんよ。なあ?キルトにポンチョ着て歩き回ってるやつもいる」
「いけないのかね?」
「なんていうか……その……集会かなんかみてえな」
ドキッとした。
このマグル勘が鋭い気がすると思いながら、不安そうな顔で私とハリーは顔を見合わせる。
「勘づかれてる?」
「魔法使いとは分かってないけど、変な人たちと思われてるんだろうね」