第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
「着いたね。良かった、君が地面に転けなくて」
「あ、……ありがとう」
直ぐに引き寄せられた理由が分かった。
私とアーサーおじさん、エイモスさんとセドリック以外は立ったままだったけど、他の皆は全員地面に転がっている。
「5時7ふーん。ストーツヘッド・ヒルからとうちゃーく」
アナウンスが何処からか聞こえたのと同時に、セドリックは私の体を離した。
「本当にありがとう、セドリック」
「どういたしまして」
セドリックは人の良さげな笑みを浮かべながら、エイモスさんと会話を始める。
それを横目に、地面に転けているハーマイオニーを引っ張り起こした。
辺りを見渡せば、霧深い辺鄙な荒地のような場所が広がっている。
そして私たちの目の前には、疲れきっている不機嫌そうな顔の魔法使いが2人。
「おはよう、バージル」
アーサーおじさんが1人の魔法使いに声をかける。
「やあ、アーサー。非番なのかい、え?まったく運がいいなぁ……私らは夜通しここだよ……さ、早くそこをどいて。5時15分に黒い森から大集団が到着する。ちょっと待ってくれ。君のキャンプ場を探すから……ウィーズリー……ウィーズリーと……」
バージルさんは羊皮紙のリストをペラペラとめくりながら、何かを探し始めた。
そして1分もせずに『あったあった』と、不機嫌そうなままの顔でつぶやく。
「ここから400メートルほどあっち。歩いていって最初に出くわすキャンプ場だ。管理人はロバーツさんという名だ。ディゴリー……2番目のキャンプ場……ベインさんを探してくれ」
「ありがとう、バージル」
アーサーおじさんはバージルさんにお礼を伝えると、私たちに着いてくるように合図をする。
私達は荒涼とした荒地を歩き始めたが、霧でほとんど何も見えない。
20分位はしただろう。
歩き続けていれば、ゆらりと小さな石造りの小屋が見えてきて、そこ脇に門があった。
そこ向こう側にはテントが立ち並んでいる。
「じゃあ、私達は行くよ、アーサー」
「ああ、またなエイモス」
「じゃあアリアネ、また会おうね」
「そうね、またね。セドリック」
そこでセドリック達と別れて、小屋の戸口へと近づく。
戸口には男性が1人たっていて、どう見てもマグルだなと分かる人だった。
「おはよう!」
アーサーおじさんが明るい声で挨拶をする。