第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
「あ、ありがとうございます……」
容姿を褒められるのは流石に照れしまう。
すると、エイモスさんはハリーを見ながら頷きながら言葉を続けた。
「去年、ハリー、君とと対戦したことをセドは詳しく話してくれた……私は息子に言ったね、こう言った。セド、そりゃ、孫子にまで語り伝えることだ。そうだとも……お前はハリー・ポッターに勝ったんだ!」
エイモスさんは悪気は無いのだろう。
セドリックが勝ったことが嬉しいんだろうけど、本人の前で言わなくても……と苦笑を浮かべる。
フレッドとジョージなんかしかめっ面だ。
「父さん、ハリーは箒から落ちたんだよ。そう言ったでしょう……事故だったって……」
「ああ。でもお前は落ちなかった。そうだろうが?うちのセドは、いつも謙虚なんだ。いつだってジェントルマンだ……しかし、最高の者が勝つんだ。ハリーだってそう言うだろう。そうだろうが、え、ハリー?1人は箒から落ち、1人は落ちなかった。天才じゃなくたって、どっちが上手い乗り手か分かるってもんだ!」
恐らくエイモスさんはセドリックが自慢の息子なんだろう。
悪気なく言っているだろうけれど、流石に嫌な感じだなと思いながら、ちらりとフレッドたちを見れば嫌な顔をしていた。
「そろそろ時間だ。エイモス、他に誰か来るかどうか、知ってるかね?」
「いいや、ラブグッド家はもう1週間前から行ってるし、フォーセット家は切符が手に入らなかった。この地域には、他には誰もいないと思うが、どうかね?」
「私も思いつかない」
アーサーおじさんはそう言うと、ハリーとハーマイオニーへと視線を向けた。
「『移動キー』に触ってればいい。それだけだよ。指一本でいい」
エイモスさんが古いブーツを掲げる。
それに10人がぎゅうぎゅうと詰め寄ってから触れた。
私の隣にはセドリックがいて、その隣にはフレッドが立っている。
「3秒……」
アーサーおじさんが懐中時計を見ながら呟く。
「2……1……」
急に臍の裏側がグイッと引っ張られるような感覚に襲われ、両足が地面を離れる。
前へと前へとスピードを上げていて、気持ち悪い感覚に顔を歪めた。
その時だった。
身体をグイッと引き寄せられ、驚いて横を見ればセドリックに引き寄せられていた。
何故身体を引き寄せられたのだろうと思っていれば、足が地面にぶつかる。