第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
「『姿現し』をする者ももちろんいるが、現れる場所を、マグルの目に触れない安全なポイントに設定しないといけない。たしか、手ごろな森があって、『姿現し』ポイントに使ったはずだ。『姿現し』をしたくない者、やたはできない者は『移動キー(ポートキー)』を使う。これは、予め指定された時間に、魔法使いたちをある地点から別の地点に移動させるのに使う鍵だ」
アーサーおじさんはハリーが分かるように説明を始めた。
ハリーは魔法使いの世界をまだまだ知らないから、頷きながら聞いていて、隣にいたハーマイオニーも真剣にアーサーおじさんの話を聞いている。
「必要とあれば、これで大集団を一度に運ぶことも出来る。イギリスには200個の『移動キー』が戦略的拠点に設置されたんだよ。そして、我が家に1番近い鍵が、ストーツヘッド・ヒルのてっぺんにある。いま、そこに向かっているんだよ」
そう話しながら、アーサーおじさんは行く手を指差す。
その先には大きな黒々とした盛り上がってい丘がある。
「『移動キー』って、どんなものなんですか?」
「そうだな、なんでもありだよ。突然、目立たないものだ。マグルが拾って、弄んだりしないように……マグルがガラクタだと思うようなものだ」
「ガラクタ……」
「例えば、鍋とか靴とかそんなものよ」
ハリーが不思議そうにしているので、横で説明をする。
「本当にガラクタなんだ」
「言ったでしょう?マグルが拾っても大丈夫ようなものなのよ」
そんな会話をしながら、くらい湿っぽい小道を私達はただひたすらと歩いた。
太陽が見えない時間帯の為、私達以外の人は誰もいないが、それが逆に都合がいい。
村を通り抜ける時には空が白み始めた。
もうすぐで太陽が登るだろうと思っていれば、肩を叩かれた。
「なに?ジョージ」
「ちょっとお聞きしたいことがあるんだよ、お姫様」
ニヤリと笑うジョージに何か嫌な予感がした。
「お姫様の想い人って誰なんだい?お兄様に教えてくれてもいいと思うんだけど」
「何がお兄様よ……」
嫌な予感は的中。
そう思いながら私はジョージからそっぽを向いた。
「言わない」
「ケチ。言ってくれてもいいじゃないか。なあ?フレッド」
「そうだな、お姫様。教えてくれてもいいと思うんだけど?」
「絶対に言わない」
というか言えるわけがないのだ。