第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
「ビルとチャーリー、パーシーはお昼頃そっちへやりますから」
モリーおばさんに手を振りながら、私達は隠れ穴から出発した。
庭はまだ暗いけれど、双子達が心底機嫌悪そうにしているのが見える。
「そんなに拗ねなくてもいいじゃない」
「拗ねるに決まってるだろう!6ヶ月もかけて開発したものを、あんなに簡単に捨てられるんだぜ?」
「拗ねるに決まってるだろう!」
「まあ、その気持ちも分からないわけじゃないんだけどね?でも挨拶ぐらいしたら良いじゃない」
「「嫌だね」」
「……本当に子供ね」
やれやれと呆れたため息を吐き出していれば、隣にいたロンがニヤリと笑った。
「フレッド、大人にならないと想い人にフラれるぞ」
「うるさいんだよ、ロニー坊や。恋愛もしたことないお坊ちゃんは黙ってな」
「痛い痛いッ!」
フレッドは機嫌悪そうにロンの頬を抓る。
「子供ばっかり……」
「貴方は大人が好きだものね」
「ハーマイオニー!」
騒ぎながら歩いていれば、ハリーがアーサーおじさんに質問していた。
「マグル達に気づかれないように、皆一体どうやってそこに行くの?」
「ああ……組織的な大問題だったよ」
アーサーおじさんは疲れたようにため息を吐き出す。
「問題はだね、およそ10万人もの魔法使いがワールドカップに来ると言うのに、当然だが、全員を収容すふ広い魔法施設が無いということでね。マグルが入り込めないような場所にあるにはある。考えてごらん。10万人もの魔法使いを、ダイアゴン横丁や9と4分の3番線にぎゅう詰めにしたらどうなるか」
「人混みで酔いそうね」
「それだけで済めばいいんだけどね」
やれやれとアーサーおじさんはまたため息を吐き出した。
「そこで人里離れた格好な荒地を探し出し、できる限りの『マグル避け』対策を講じなければならなかったのだ。魔法省をあげて、何ヶ月もこれに取り組んできたよ。まずは、当然のことだが、到着時間を少しづつずらした。安い切符を手にした者は、2週間前に着いていないといけない。マグルの交通機関を使う魔法使いも少しはいるが、バスや汽車にあんまり大勢詰め込むわけにもいかない。なにしろ、世界中から魔法使いがやってくるのだから……」
クィディッチ・ワールドカップは、世界中の魔法使いが観に来るようなものだ。
どんな魔法使いがいるか見れるのも楽しみである。