第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
「うん、ありがとう。ほんとに命拾いした。ケーキのお陰で」
「それと、頼りはあるのかい?ほら──」
「ロン」
私はロンの名前を呼んで、それ以上言わないように視線で制止させた。
恐らくロンはシリウスの事を聞こうとしたのだろうけど、ここにはジニーがいる。
シリウスを恐らく心配しているのだろう。
それはハリーとハーマイオニーも一緒だろうし、2人も何かを察した顔をしている。
「どうやら下での論争は終わったみたいね」
ハーマイオニーが気まずい沈黙を破った。
確かに下からの論争は聞こえなくなっていて、どうやらモリーおばさんの説教が終わったようだ。
「そうみたいね」
「下りていって、お母様の夕食の支度をするのを手伝いましょうか?」
「ウン、オッケー」
階段を降りていき、キッチンに入ればそこにはモリーおばさんだけの姿があった。
表情を覗いて見れば、かなりご機嫌ななめ。
「庭で食べることにしましたよ。ここじゃ12人はとても入りきらないわ。お嬢ちゃんたち、お皿を外に持って行ってくれる?ビルとチャーリーがテーブルを準備してるわ。そこのお二人さん、ナイフとフォークをお願い」
「分かったわ、モリーおばさん。ハーマイオニー、ジニー、このお皿を外に持っていきましょう」
「了解したわ」
私はジニーとハーマイオニーと共に、並んでいたお皿を手に取ってから外へと向かう。
庭に出れば、クルックシャンクスが走っているのが見えた。
庭小人は一生懸命クルックシャンクスから逃げていて、あちこち走っている。
「楽しそうね、クルックシャンクス」
「ずっとこうして遊んでるの。庭小人を初めて見るからでしょうね」
なんて話しながら庭へと足を運んでいれば、何かがぶつかる音が聞こえた。
なんの音だろうかと見れば、ビルとチャーリーが杖を振り上げている。
上空を見れば、使い古されたテーブルが2つ飛んでいる。
それをビルとチャーリーはテーブルを操り、ぶつけて落としたりしている。
「楽しそうね、ビルにチャーリー」
「楽しいよ」
「ビル、チャーリーをやっちまえ!」
「チャーリー、ビルをやっちまえ!」
フレッドとジョージの双子はそれぞれ応援していて、楽しそうにしている。
「壊れるわよ、テーブル」
「壊れたら直せばいいんだよ。テーブルぐらいなら、簡単に直せるさ」
ビルはニヤリといたずらっ子な笑みを浮かべた。