第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
すると、ロンはパーシーの言葉に鼻で笑う。
イライラした様子を見せていたかと思えば、次は馬鹿にしたような態度。
本当にパーシーが気に食わないんだなと思いながら苦笑を浮かべる。
「世界がひっくり返るよ。その報告書で。『日刊預言者新聞』の一面記事だ。きっと『鍋が漏れる』って」
ロンの言葉でパーシーの顔に少し熱が上がっていく。
「ロン、お前はバカにするかもしれないが、何らかの国際法を科さないと、今に市場はペラペラの底の薄い製品で溢れ、深刻な危険が──」
「はい、はい、わかったよ」
最後まで話を聞かずにロンは階段を上がり始め、パーシーは何かをグチグチと言いながら部屋に引き篭った。
そして私たちも階段を上がっていれば、下の階から怒鳴り声が響いてくる。
怒鳴り声はキッチンから聞こえてくる。
どうやら、アーサーおじさんがモリーおばさんに『ベロベロ飴(トン・タン・トフィー)』の事を話したらしい。
これはしばらくモリーおばさんの機嫌は悪いだろうなあと思いながらロンの部屋に入った。
相変わらず、ロンの部屋は贔屓のクィディッチ・チームの誰かのポスターが貼り付けられている。
だけど新しいのがいるとしたら、シリウスがロンに贈ったふくろう。
「静かにしろ、ピッグ」
小さな鳥籠で興奮したように鳴いているふくろうに、ロンは厳しい声でそう言った。
「ベッドが4つ?」
ロンの部屋が変わったとしたら、ベッドが増えていること。
「フレッドとジョージがここで僕たちと一緒なんだ。だって、2人の部屋はビルとチャーリーが使っているし。パーシーは仕事しなくちゃならないからって自分の部屋を独り占めしてるんだ」
「なるほどね」
「アリアネの部屋はそのまんま残してあるよ。ママがいつでもアリアネが来れるようにって残すように言ったんだ」
「そうなの?モリーおばさんにあとで『ありがとう』って言わなきゃ」
手紙では私の部屋は荷物置きの部屋にでもしていいと伝えていた。
だけど残してくれているなんて思っていなかったから、少しだけ嬉しかった。
「ねえ、どうしてこのフクロウのことピッグって呼ぶの?」
「この子がバカなんですもの。ほんとは、ピッグヴィジョンっていう名前なのよ」
ハリーの問にジニーが答えた。
「ウン、名前はちっともバカじゃないんだけどね」