第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
「つまり、あの2人は開発してたってこと?悪戯する道具を」
「そういうこと。昔からずっと、2人の部屋から爆発音が聞こえてたけど、何か作ってるなんて考えもしなかったわ。あの2人はうるさい音が好きなだけだと思ったの」
ジニーはクスッと笑う。
確かに、昔からフレッドとジョージの部屋からは爆発音がよく聞こえてきていた。
単にうるさい音が好きなんだなと私も思っていたけれど、まさか悪戯道具を制作していたなんて……。
「だ、作ったとのがほとんど、っていうか全部だな……ちょっと危険なんだ。それに。ね、あの2人、ホグワーツでそれを売って稼ごうと計画してたんだ。ママがカンカンになってさ。もう何も作っちゃいけません、って2人に言い渡して、注文表を全部焼き捨てちゃった……ママったらその前から2人にさんざん腹を立ててたんだ」
「なんで?また何かやらかしたの、あの2人」
「違うよ。2人が『O・W・L試験』でママが期待してたような点を取らなかったから」
「なるほどね……」
双子達は普通に成績はいい。
だから、モリーおばさんは2人に期待していたのだろう。
「それから大論争があったの。ママは2人にパパみたいに『魔法省』に入ってほしかったの。でも2人はどうしても『悪戯専門店』を開きたいって、ママに言ったの」
「2人らしいわね、『悪戯専門店』なんて」
なんて話している時だ。
2つ目の踊り場のドアが開いて、角縁メガネをかけて心底迷惑そうな表情を浮かべたパーシーが顔を覗かせた。
「やあ、パーシー」
「あら、パーシー。久しぶり」
「ああ、しばらくぶりだな。ハリー、アリアネ。だれがうるさく騒いでいるのかと思ってね。僕、ほら、ここで仕事中なんだ。役所の仕事で報告書を仕上げなくちゃならない。階段でドスンドスンされたんじゃ、集中しにくくってかなわない」
そういえば、パーシーは魔法省に就職した事を思い出した。
何処の部に所属していたか忘れたけれど、モリーおばさんが嬉しそうな手紙を送ってきた。
「ドスンドスンなんかしてないぞ。僕たち、歩いているだけだ。すみませんね。魔法省極秘のお仕事のお邪魔をいたしまして」
「何の仕事なの?」
「『国際魔法協力部』の報告書でね。大鍋の厚さを標準化しようとしてるんだ。輸入品にはわずかに薄いのがあってね。漏れ率が年間約3パーセント増えてるんだ」