第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
ため息を吐き出していれば、チャーリーがハリーを見て笑顔を浮かべながら手を差し出した。
「やあ、ハリー、調子はどうだい?」
そして次はビルが微笑みながら立ち上がり、ハリーと握手を交わす。
そういえばこの2人はハリーとは初対面である事を思い出した。
自己紹介もし無いうちに、ポンッという小さな破裂したような音が聞こえた。
振り返れば、アーサーおじさんが暖炉から出てきていたが、その形相はかなり怒っている。
「フレッド!冗談じゃすまんぞ!あのマグルの男の子に、いったい何をやった?」
どうやら、ハリーの従兄弟はフレッド達の悪戯飴を食べたらしい。
「僕、なにもあげなかったよ。僕、落としちゃただけだよ……拾って食べたのはあの子が悪いんだ。僕が食えって言ったわけじゃない」
「わざと落としたろう!あの子が食べると、分かっていたはずだ。お前、あの子がダイエット中なのを知っていただろう」
「あいつのベロ、どのくらい大きくなった?」
ジョージは興味津々とアーサーおじさんに聞いた。
「ご両親がやっと私に縮めさせてくれた時は、1メートルは超えていたぞ!」
想像するだけで笑いが出る。
そう思いながら、私たちが笑っていればアーサーおじさんは顔を真っ赤にして怒鳴った。
「笑い事じゃない!こういう事がマグルと魔法使いの関係を著しく損なうのだ!父さんが半生かけてマグルの不当な扱いに反対する運動をしてきたというのに、よりによってわが息子たちが……」
「俺たち、あいつがマグルだからあれを食わせたわけじゃない!」
するとフレッドは『とんでもない!』と憤慨した。
「そうだよ。あいつがいじめっ子のワルだからやったんだ。そうだろう、ハリー?」
「うん、そうですよ。ウィーズリーおじさん」
「まあまあ、アーサーおじさん。ダドリーだっけ?ハリーの従兄弟。あいつは心底意地の悪い子なんだからこのぐらいいいと思いますよ」
「良くない!」
怒られてしまった。
私は口を尖らせながらも、あの意地の悪い夫婦の息子が痛い目にあった事に心底喜んでいた。
ハリーを虐めていた罰だ、ちょうどいい。
「母さんに言ったらどうなるか……」
「私に何かおっしゃりたいの?」
アーサーおじさんが呟いた瞬間、モリーおばさんがキッチンに入ってきた。
怪訝そうにアーサーおじさんを見ていて、アーサーおじさんは『うっ』と言葉を詰まらせる。