第15章 ワールドカップ【炎のゴブレット】
惹かれているだけ。
そう言い訳出来るものあと何回なんだろうかと思いながら、顔を赤く染めていれば、傍に立っていたリーマスが怪訝そうに私を見下ろしている。
「な、なに……?」
「悪い狼に名づけ子が捕まった気がしてね……」
「え?」
「何で女性というものは、悪い男に魅了されてしまうんだろうね……」
ため息を吐き出したリーマスは『やれやれ』と肩を竦めている。
そんなリーマスに私は何とも言えずにいると、ふくろうの鳴き声が聞こえてきた。
上空を見上げれば、見慣れたふくろうが飛んでいる。
そしてふくろうはバタバタと羽を一生懸命揺らしながら、私の肩に捕まった。
「エロール!」
ウィーズリー家の年寄りふくろうのエロールだ。
嘴には手紙を咥えていて、私に手渡すとベシャッと地面に落ちてしまう。
そんなエロールを拾い上げながら手紙を見れば、アーサーおじさんからだった。
「どうたんだい?」
「アーサーおじさんから手紙が届いたの。エロール、お疲れ様」
「アーサーから?」
エロールを抱えながら、私は手紙を広げた。
『拝啓 アリアネへ
クィディッチ・ワールドカップの決勝戦が次の月曜日にあることは知っているね?
いい席を手に入れることが出来たら、一緒に観戦しないかい?
イギリスが開催地になるのは30年ぶりだから是非、観においで。
もし観に来るなら日曜日においで。
ハリーの叔父と叔母にも手紙を出して、彼を誘っているんだよ。
ハーマイオニーも来るらしいから、君も是非おいで
アーサー・ウィーズリーより』
「クィディッチ・ワールドカップ!」
「ああ。確か、月曜日にあるんだっけ?誘われたのかい?」
「ええ!リーマス、行ってもいいかしら?」
クィディッチは観るのは好きだ。
それに元々ロンに誘われていて、行こうかどうか悩んでいた所だ。
「勿論、良いよ。隠れ穴まで送ろうか」
「本当?ありがとう!」
私は浮き足立ちながら、日曜日を楽しみにしていた。
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そして日曜日の午後。
リーマスの『姿くらまし』で私は隠れ穴まで来た。
するとモリーおばさんが出てきて、私を見つけると駆け寄ってきた。
「アリアネ!久しぶりね!」
「モリーおばさん!お久しぶりです!」
モリーおばさんは嬉しげに私を抱き締めてから、リーマスを見た。